切断用の電動工具としては、動きが穏やかで、手に触れにくいところに刃がついているので、初心者でも危険なく使えるDIYの入門用工具ととらえられることが多い。確かにそれは見識だが、使い方を工夫したり、選ぶモデルによっては、ベテランの片腕となる性能を発揮してくれるのもジグソーの実力だ。
*ジグソーの基本を解説した前編はコチラ!
ビギナーからベテランまでいろいろ使える切断用電動工具、それがジグソーだ
ジグソー用の直線切りジグを作る
フリーハンドでは切り線が墨線からぶれやすいが、ジグを手作りして、ジグソーが真っすぐにしか進めないように工夫すれば、安心して直線切りにジグソーを活用できる。厚さ3mm程度の合板やMDFボードを必要な長さ×幅30cm程度用意し、そこから左右2枚のフェンスを切り出す。このフェンスでジグソーのベースプレートを左右から挟み、両面テープで固定したら、ブレードを付けたジグソーを一度通して溝を切るだけの簡単な工作だ。
直線切りジグの作り方
01 作例では3×300×300mmのMDFボードを使用。ホームセンターの切断サービスでここから幅50mmでフェンスを2枚切り出し、残りをスペーサーに使う 02 フェンスの裏に両面テープを張る 03 スペーサーの端に沿わせてフェンスを張る。正確に張るに越したことはないが、ここでは、ほぼ正確程度でいい 04 張り付けたフェンスにジグソーのベースプレートをぴったり沿わせ反対側に、もう1枚のフェンスを、ベースプレート側面に沿わせてぴったり置く。ここでジグソーが、スムースに前後に滑るか確認する 05 2枚目のフェンス裏に両面テープを張り、手順04で決めた位置に正確に張る。ゴムハンマーなどで叩いておくと密着できる 06 ジグで切る長さを決め、フェンス間の真ん中に墨つけする 07 線の両端に合わせてブレードを差し込める径の穴をあけ、穴から穴までジグソーで切る 08 ジグソーで切った切り線の中間部にいくつか穴をあける。これで墨線が見やすくなる
直線切り用ジグを使う
01 墨線にジグの切り線を合わせてセットし、クランプなどでずれないように固定 02 端の穴にブレードを差し込み、フェンスに沿ってジグソーを進めるだけで、ぶれのない直線が切れる
メーカー製のジグもある
写真は、ボッシュ純正別売アクセサリーにラインナップされたPLS300というジグソーガイド。写真中央のスライドガイドにジグソーをセットして、スライドさせれば、簡単に直線切り、角度切りなどができる。最大切断幅は315mm、最大切断厚さは25mm、ガイド部は左右45度まで振ることができる。ボッシュの現行DIY用ジグソーに適応するが、ベースプレート幅があえばボッシュプロ用ジグソーでも使用できる。
ボッシュのジグソーに対応するPLS300
ジグソーはブレード交換でマルチ工具に変身
ジグソーは切断用電動工具の中ではブレードの交換が容易にできる。ジグソーを所有する人口も多いので、用途別にさまざまなブレードが開発されて販売されている。使いこなせば、DIYのいろいろな場面で活躍してくれる。
塩ビ管を切る
樹脂、ベークライト等の切断用ブレードを使う 塩ビ管をしっかり固定して、切断する。引っ掛かる感じなどは皆無 サンドペーパーで研磨すれば十分になめらかになる
ゴム板を切る
ナイフ状になっているゴム・スチレンボード。発泡スチロール切断用ブレードを使う 防振用ゴム板を短冊状に切る。もう少し幅広に切るなら、下から発泡スチロール板を当て、一緒に切ると安定する ナイフ状のブレードなので、切断面はすくったバターのような感じになる 鉄棒を切る
鉄工用ブレード。軟鉄用なので、鋼、ステンレスを切るにはそれ用のブレードを使うこと。歯は非常に細かい L型アンカーボルトのネジ部分を切る。切る材は動かないようにしっかり押さえておく 焼きの入っていない軟鉄なら、木材と同じように切れる
アクリル板を切る
樹脂、ベークライトなどの切断用ブレード。歯は細かめ アクリルに張られている保護紙ははがさずに切る。保護紙が割れ防止になっているが、それでも割れる場合がある そんな時は、写真のようにアクリル板の上下に薄い合板を密着させて切ると割れない 右が切断中に割れた部分。左が上下に薄板を密着させて切った部分。違いは一目瞭然 *小さい写真はクリックすると大きく表示されます。
写真◎冨士井明史/取材協力◎白井 糺、ブラック&デッカー、ボッシュ
*掲載データは2012年4月時のものです。