2021年10月、GoogleおよびAlphabetのCEOサンダー・ピチャイ氏が、アフリカに10億ドル(約1137億円※)を投資することを発表しました。自身を「テクノロジー・オプティミスト」と称するピチャイ氏は「テクノロジーがアフリカの未来を大きく変革できる」という力強いメッセージを発しており、Google for Africaでアフリカ投資に向けた施策を数多く展開しています。
※1ドル=約113円で換算(2021年11月5日時点)
今回の投資における主要な4つの分野は「安価なアクセスおよびアフリカのユーザー向けの製品開発」「企業のデジタルトランスフォーメーション支援」「次世代技術促進に向けた起業家への投資」「アフリカの人々の生活向上に貢献する非営利団体の支援」とされています。
以前からGoogleはアフリカの人々にデジタルスキルをサポートしており、2017年に表明したアフリカ人に向けたデジタルスキル支援においては、600万人を超える人々にトレーニングを実施。さらに、8万人を超える開発者の訓練や80社以上のスタートアップ企業の資金調達支援などを通じて、数千人規模の雇用を創出してきました。
テクノロジーを活用した医療支援やオンライン学習、モバイルマネーなどは、すでにアフリカで巨大なビジネスに成長していますが、Googleは今後5年間でさらに3億人以上のアフリカ人がインターネットに接続できるようになると予測しており、幅広い分野でデジタルイノベーションの準備を進めています。
当然ながら、巨大市場アフリカに向けて、ほかの企業も大規模プロジェクトを予定しており、Meta(旧Facebook)を中心としたコンソーシアムによる海底ケーブル拡張プロジェクト「2Africa」はその一例です。同社のほかに、2Africaにはチャイナ・モバイル・インターナショナル、MTNグローバルコネクト、オレンジ、サウジ・テレコム、テレコム・エジプト、ボーダフォン、WIOCCが参加。本プロジェクトは、アフリカ、アジア、ヨーロッパを直接結ぶものであり、2021年9月には上陸地に9つの新拠点を追加し、ケーブルの長さが4万5000km以上に及ぶことが発表されました。
当初はアフリカの約12億人にネット接続を提供する予定でしたが、今回の発表では世界人口の約36%に相当する33か国、約30億人にインターネット接続を提供することが可能になると報じられています。インフラが整えば、情報格差を埋めたり、何十億人ものライフスタイルやビジネスの手段が変わったりするでしょう。
巨大IT企業が主導するインフラ開発やデジタルスキルの普及によって、先進国における既存のビジネスルールを適用できる環境が整えられる可能性があり、アフリカ進出のハードルが低くなるかもしれません。このようなアフリカの変革は、日本企業においても大きなビジネスチャンスであり、成長著しいマーケットに向けたサービスを展開するには追い風です。
アフリカでモバイルマネーが急速に普及したことは世界的に知られていますが、今後はビジネスのキャッシュレス決裁もさらに広がる見通しで、海外企業のアフリカ進出はさらに拡大することが予測されます。日本からアフリカに向けたビジネス展開もさらに容易になっていくことでしょう。