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アウトソーシングの好条件が揃うフィジーのコールセンター事業

2022/11/8

 

オセアニア東部の島しょ国であるフィジー共和国(以下、フィジー)でコールセンタービジネスが広まっています。さらに、それにとどまらないアウトソーシングビジネスへの展開も始まっているとか。美しい自然で知られるフィジーで、今なにが起きているのでしょうか?

 

四国とほぼ同じ面積であるフィジーの人口は約90万人。公用語は英語で、フィジー系の住人とイギリス統治時代に移住してきたインド系住民で構成されています。以前はオーストラリアやニュージーランドとの関係が深かったのですが、最近は中国からの投資も増えています。

 

フィジーの主な産業は農業や観光。しかし新型コロナによる影響で、観光業は大きな打撃を受けました。また地域最高峰といわれる南太平洋大学があるにもかかわらず、国内の雇用先が少ないことから、学生が卒業後に他国に出ていってしまうという課題も。そのため、新たな産業への転換はもちろん、学生に向けた新たな雇用を創出するためにも、テクノロジーなど新たな分野への投資が急務でした。

 

コールセンターの設置に適した環境

そんな状況下で急速に広がりつつあるのが、コールセンタービジネスです。フィジーは、地理的にオーストラリアやニュージーランドだけでなく、アジアや北米にもアクセスしやすいのが特徴。また、海底ケーブルが整備されており、インターネットへの接続環境も整っています。しかも公用語が英語であることから、グローバルなビジネスを展開しやすいというメリットがあるからです。

 

このようなフィジーの動きに、早くも各国から熱い視線が向けられています。BBC Newsの報道によれば、オーストラリアの多国籍銀行グループであるANZは、クレジットカード処理や融資業務、支払い、口座サポートのために、フィジーのコールセンターを利用しているといいます。

 

一方、フィジーの地元メディアであるFiji Villageは、世界的な信用調査会社であるPepper Advantageが、同国で大規模なアウトソーシングビジネスを開始すると報じました。これにより、今後5年間で800人から1000人の新しい雇用の創出が期待されるそう。

 

これを受けて「Pepper Advantageによるハブの設立が、フィジーへのアウトソーシングを計画している国際企業の進出を促進するだろう」とフィジーのアウトソーシング事務局長のSagufta Janif(サグフタ・ジャニフ)氏がコメント。さらに、フィジーでさまざまな事業を展開するTruman Bradley(トルーマン・ブラッドリー)氏も、同国におけるテクノロジー産業の構築により、より多くの卒業生がフィジーにとどまり働くことになるだろうとの期待を寄せています。

 

農業や観光業から、コールセンターなどのテクノロジーを活用したアウトソーシングビジネスへと転換を図ろうとしているフィジー。この流れは、雇用の創出はもちろん、フィジー経済の発展にひと役買いそうです。

 

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