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ウズベキスタン人が日本に最適なヒューマンリソースになる3つの理由

2022/12/21

ウズベキスタンという国をご存知でしょうか? 中央アジアに位置し、古くからシルクロードの中継地として栄えてきたエリアにあります。日本政府は海外から労働力を呼び込むプログラムの一環として、2019年にウズベキスタンと協定を結びました。日本へ労働力を送り出すためのウズベキスタンの取り組みや、ウズベキスタン人が日本の労働市場に向くと思われる理由などについて説明します。

 

150人の技能実習生が日本で働く

日本語を学習しているウズベキスタン人たち

 

ウズベキスタンは3500万人と中央アジアで最も多い人口を有する国で、約60%が若者で構成されています。ただ、働きたくても働く場所がないのが現状で、毎年約60万人が海外の労働市場に流出。現在は200万人以上の労働者がロシア、カザフスタン、韓国、トルコ、アラブ首長国連邦、アジアやヨーロッパの諸国で短期労働に従事しています。

 

日本も2019年に、技能実習と特定技能の人材を迎える協定をウズベキスタンと結びました。協定が結ばれたあと、ウズベキスタンの各州には無料で日本語や農業、介護について学習できる環境が整えられています。

 

こういった教室で1日3時間半、週に5日、合計6か月の間無料で学習し、試験に合格すれば日本語能力試験のN4(基本的な日本語を理解することができるレベル)を取得することが可能。試験の受験費用も国が負担しています。

 

2022年現在、ウズベキスタンで取得できる特定技能の資格はまだ農業と介護の2分野だけですが、2022年6月の在留外国人統計によれば、在留資格の「技能実習(1号・2号)」と「特定技能(1号)」を持つウズベキスタン人の数は現在、日本に147人、「技術・人文知識・国際業務」を持つ人は709人。ウズベキスタン政府はこの取り組みを拡大していく方針です。

 

ウズベキスタンの日本人への印象

タシケントにあるナヴォイ劇場

 

ウズベキスタンの首都タシケントにあるナヴォイ劇場は、第二次世界大戦後に抑留された日本人兵などの強制労働によって建てられました。1966年に起きた大きな地震でもこの建物だけが無傷だったことから、ウズベキスタン人は日本人の技術力をとても尊敬しています。

 

また、タシケントには日本庭園や日本人墓地など、日本に関わる場所もいくつかあります。国内では日本のドラマや映画も放送されているため、ウズベキスタンの人たちの多くは日本の技術や風習、文化に大きな関心や興味を抱いているのです。

 

そんなウズベキスタン人が日本の労働市場に向く理由は3つ考えられます。

 

1: 日本語の習得が速い

ウズベキスタンは130以上もの民族が住んでいる多民族国家でさまざまな言語が使われていますが、公用語であるウズベク語は、日本語と文法が似ています。そのため日本語が習得しやすいようで、とても早く上達します。日本人にとっても、ウズベク語は習得しやすい言語といえるかもしれません。

 

2: 日々の生活の中で介護に従事

ウズベキスタンには昔の日本のように家族と同居するという文化があるので、常に高齢者を敬い、優しくて思いやりのある人たちが多いのです。日々の生活の中で高齢者とかかわっているため、介護も自然と身についています。

 

3: 農業に従事している人が多い

ウズベキスタンは世界第6位の綿花生産国であり、世界第2位の綿花輸出国。近年はアラル海の面積と水量が縮小するなど環境の変化により綿花栽培は縮小していますが、穀物や野菜、果物といった農業が盛んです。農業に従事している人やある程度の農業知識を持っている人が多く、日本でも農業に関する仕事に向くといえます。

ウズベキスタンの農場

 

日本とウズベキスタンが協定を結んでからまだ2年程度のため、日本で本格的な労働力となるのはこれから。特定技能分野はいまのところ農業と介護だけですが、今後は他の分野にも拡大していく可能性があります。日本でたくさんのウズベキスタン人たちが労働市場を支える日も、そう遠くないかもしれません。

 

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