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アフリカ宇宙局が誕生! 途上国が挑む「宇宙開発」の狙いは?

2023/3/24

スペースXやテスラ、ツイッターなどのCEOを務めるイーロン・マスク氏が火星移住計画を打ち立て、実業家の前澤友作氏が民間人として宇宙旅行を楽しむなど、昨今の宇宙開発は目覚ましいものがあります。しかし、そんな宇宙開発は先進国に限ったものではありません。ナイジェリア、ルワンダ、パキスタンなどの途上国も宇宙開発事業に取り組んでいることをご存知でしょうか?

途上国も宇宙開発に挑む

 

アフリカ諸国

アフリカ連合加盟国は2023年1月、同大陸における宇宙開発のハブとしてアフリカ宇宙庁を設立し、本格的に宇宙事業に乗り出しました。マスク氏が率いるスペースXも、南アフリカでの衛星の打ち上げを支援しています。その一方、現在、世界の多くの国々や民間企業が宇宙事業に参入しているなか、国際協調による平和的な宇宙探査を目的とした「アルテミス協定」に日本をはじめ、アメリカ、カナダ、イギリスなどが署名していますが、アフリカの国として初めて署名したのがナイジェリアとルワンダでした。

 

カザフスタン

旧ソビエト連邦を構成していたカザフスタン、アゼルバイジャン、トルクメニスタンには、独自の宇宙機関や宇宙関連の民間企業があり、合計11の衛星を飛ばしています。なかでも技術的に優れているのが、カザフスタン。超小型衛星の開発に成功し、他国へのサービス提供も間もなく始まるとみられており、宇宙開発分野での国際協力も積極的に行っています。

 

トルコ

トルコでは、同国の宇宙庁が宇宙開発市場に参入するための目標を掲げた10年戦略を策定。トルコ人を宇宙に送り込むことや、同国で初となる観測用衛星を確立することなどが盛り込まれています。トルコは二国間協定や民間企業との協力を積極的に進めていることが特徴。例えば、パキスタンと衛星や宇宙プロジェクトに関する協定を結び、エルサルバドルと衛星システムに関する覚書を締結したほか、スペースXの協力のもと衛星の打ち上げも行っています。さらに、世界初の商用宇宙ステーションの開発を進めるアメリカのアクシオム・スペースとも協定を結んでいます。

 

パキスタン

パキスタンは1962年にアジアのイスラム圏で初めて宇宙開発事業に参入しました。インドとの長期にわたる国境紛争などの影響もあり、その計画は必ずしも順調に行かなかったようですが、同国が掲げる現在の「宇宙ビジョン2040」では、国産の衛星の開発と配備が主な目標とされています。パキスタンは、トルコ、タイ、UAE、中国などと協定を結び、近年はパキスタン人の宇宙飛行士の派遣に意欲を燃やしているそうです。

 

鍵は国際協力

宇宙開発は最先端の技術はもちろん、莫大な資金が必要なため、アメリカのような大国を除いて、途上国や新興国の一国だけで始めるには限界があります。そこで鍵となるのが二国間協定のような国際協力。例えば、インドは60の国と5つの国際機関の間で230以上の協定を結んでいます。2月下旬には、インドの宇宙研究機関(ISRO)とアルゼンチンの宇宙機関(CONAE)が宇宙開発の協力について会談を行ったニュースが報じられました。また、中国を抜いて人口が世界一多くなったインドは、アメリカや中国のように宇宙開発に関する長期的な目標の達成に向けて、民間企業を巻き込んで宇宙開発事業に乗り出しています。

 

このように、先進国だけでなく途上国や新興国も宇宙開発に積極的に取り組んでいますが、その目的の一つに自国の衛星システムの確立があります。日本では当たり前に利用されている衛星ですが、途上国や新興国はそうではありません。そこで、このような国々は自国の衛星を飛ばして、インターネットの普及を促進するだけでなく、そこから得た情報を活用して、国内の災害対策や森林管理、農業支援、安全保障などに活用しようとしているようです。そこでは先進国の知見が役に立つでしょう。

 

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