機材レポート

今、買うならどっち? キヤノン EOS Kiss M vs. EOS Kiss X9i

一眼レフ入門機の代名詞ともいえるEOS Kissシリーズ。今買うなら、ついに発売されたKiss初のミラーレスモデルか、はたまた熟成の感があるKiss最上位機種か? ホンネで比べてみよう。

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i
左:EOS Kiss M 右:EOS Kiss X9i

 

Kissの名を冠しても中級機並みの性能を誇る
EOS Kissシリーズはエントリー機という位置付けではあるが、実際のところ画質面で中級機と大きな差はない。よってコンパクトさを理由に購入する上級者やベテランも多い。近年はラインナップがやや複雑化しているが、EOS Kiss X9iは2017年4月に発売された、現時点でのシリーズ最上位モデルだ。

ミラーレスになった高画質なKiss M
それに対し、EOS Kiss Mはミラーレスカメラで初めてKissの名を冠したモデル。EOS Mシリーズの最上位機種であるM5と比べると、サブ電子ダイヤルが省かれているなど操作部は一部簡略化されているものの、画質やAFなどの基本性能は格段に上。初めて本格的なカメラを使うという人はもちろん、これまでMシリーズを使ってこなかったEOSユーザーにも自信を持っておすすめできる。

X9iの45点AFも魅力的だ
マウントが異なるだけに両者を比較するのは難しいが、今買うべきはやはりEOS Kiss Mではないかと思う。ただしメインの被写体が動きモノというなら話は別。EOS Kiss MのAF性能も大きな不満はないものの、やはりEOS Kiss X9iのオールクロス45点AFセンサーには抜群の安心感がある。

 

【画質】最新映像エンジンを搭載し画質性能に磨きを掛ける

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i

EOS Kiss X9iもエントリー機としては十分過ぎる高画質。EOS Kiss Mは画素数こそ変わらないものの、さらに映像エンジンをDIGIC 8にバージョンアップしている。

 

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i
新映像エンジンDIGIC 8搭載
DIGIC 8の搭載により画質やデュアルピクセルCMOS AFが進化したEOS Kiss M。オートライティングオプティマイザの性能が向上し、4K動画撮影にも対応している。

 

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i
レンズ収差をカメラ内で補正できる
EOS Kiss Mは、RAW現像時に使える「デジタルレンズオプティマイザ」をカメラ内に搭載。ほかの機種で搭載しているのはEOS-1D X Mark IIのみという贅沢な機能だ。

 

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i
解像感の高い画質でスナップが楽しめる
もはや注文すべき点もない安定の高画質。この写真はカメラが生成したJPEGだが、データ容量をRAWの2/3に抑えつつ、画質の低下がほとんどないC-RAWも用意されている。
キヤノン EOS Kiss M EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM 絞り優先AE F4.5 1/320秒 ISO100 WB:オート

 

【手ブレ補正】センサー情報をプラスして手ブレを高精度に補正する

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i

EOSシリーズはこれまでレンズ内手ブレ補正を採用してきたが、EOS Kiss MではCMOSセンサーの画像情報からもブレを検出するデュアルセンシングISを初搭載し、レンズ内手ブレ補正がより高精度に機能する。

 

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i
強力な手ブレ補正で流し撮りがキマる!
ジャイロセンサーだけでなくCMOSセンサーの画像情報からもブレを検知する「デュアルセンシングIS」により、大きなブレも抑制可能。低速シャッターによる流し撮りもイメージどおりに撮影できた。
キヤノン EOS Kiss M EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM シャッター速度優先AE 絞りF5 1/10秒 ISO100 WB:オート

 

【AF】動く被写体の撮影が快適なオールクロス45点AF

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i

EOS Kiss Mも快適なAF性能を誇るが、オールクロス45点AFセンサーを搭載したEOS Kiss X9iに軍配を上げたい。特に望遠レンズ+動く被写体ではまだ一眼レフが心強い。

 

EOS Kiss M
キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i
デュアルピクセルCMOS AFが進化
全画素が位相差AF センサーとして機能するデュアルピクセルCMOS AFを搭載。EOS Kiss MはDIGIC 8により測距エリアを拡大し、装着レンズにより画面の横約88%×縦約100%をカバーする。測距点は最大で143点。非対応レンズでは横約80%×縦約80%、最大99点。

 

EOS Kiss X9i
キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i
一眼レフの快適なピント合わせが可能
EOS Kiss X9iにはEOS 80Dなどの中級機にも採用されているオールクロス45点AFセンサーを搭載。中央部は被写体の捕捉能力に優れるデュアルクロスに対応する。ファインダーはグリッド表示や電子水準器なども搭載するインテリジェントタイプだ。

 

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i
ミドルクラス並みの位相差AFは動体撮影に強い
鉄道をはじめ、飛行機や野鳥といった望遠+動体追従のジャンルでは、やはり一眼レフのほうが安心感がある。EOS Kiss X9iには中級機並みのオールクロス45点AF センサーが搭載されている。
キヤノン EOS Kiss X9i EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM 絞り優先AE F4.5 1/1000秒 ISO100 WB:オート

 

【操作性】操作系はほぼ互角! タッチ操作が使いやすい

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i

基本的な操作系はほとんど同じ。ボディが小さいぶんEOS Kiss Mのボタンが押しづらいが、実際はほとんどの操作がタッチで可能。むしろ小ささと軽さでEOS Kiss Mに軍配。

 

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i
高精細EVFはEOS M5と同じ
EOS Kiss MのEVFは上位機種のEOS M5と同じ236万ドット。EOS Kiss X9iの光学ファインダーより、ピントの山は断然つかみやすい。露出やWBなどの変更をリアルタイムに確認できる。

 

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i
タッチ操作でピントを操る
3.0型約104万ドットのバリアングル液晶モニターを搭載し、ローアングルやハイアングルからの撮影も快適。もちろんタッチパネル式で、タッチ&ドラッグAFにも対応している。

 

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i
ミラーレス化でよりコンパクトに
EOS Kiss M(左)のボディサイズはEOS M5とほぼ同じ。EOS Kiss X9i(右)と比べると、当然ながら格段に小型軽量化が図られている。EOS Kiss Mのボディカラーはホワイトとブラックを用意している。

 

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i
仕上がりをEVFでリアムタイムに確認できる
フィルター効果を内蔵するのはEOS Kiss X9iも同様だが、EOS Kiss Mでは背面液晶はもちろん、ファインダーでも効果を確認しながら撮影できる。7種類のフィルター効果を搭載し、印象的な写真が撮影できる。
キヤノンE OS Kiss M EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM ジオラマ風 絞りF5.6 1/80秒 ISO125 WB:オート

 

ミラーレス vs. 一眼レフ EOS Kissシリーズ スペック比較

キヤノン EOS Kiss M vs EOS Kiss X9i
※参考価格は2018年6月時点のキヤノンオンラインショップ直販価格(税込)

 

 

〈写真・解説〉鹿野貴司