今まで一度も撮影したことがない人でもイチからスタートできる飛行機撮影の要点を、達人 ルーク・オザワさんに教えていただきました。
「飛行機撮影は一度やったらやめられないほど魅力的。まずは身近な空港に足を運んでみよう」
まずは望遠ズームとカメラを持って、手近な飛行場に出かけてみよう。飛び立ち、舞い降りる姿のカッコよさを感じたら、その魅力的な姿を写し止める撮影にチャレンジ。きっと飛行機撮影の面白さを、すぐに実感してもらえると思う。
旅客機を優美に写す方法には、7つのポイントがありました。4回に分けて、ご紹介いたします。
1回目の【飛行機の撮り方①】飛行機を優美に写す7つの撮影ポイントでは、「おすすめ撮影スポット」と、「撮影時のカメラの設定のポイント」について、2回目では、【飛行機の撮り方②】飛行機を優美に写す7つの撮影ポイントでは、「ピントの合わせ方」と、「いい光の捉え方」をご紹介いたしました。今回3回目になります。
Q5.飛行機を美しく撮るための狙い目のタイミングとは?
-Answer-
離着陸の方向を確認して最適な撮影ポジションからベストの構図と光で撮ろう
飛んでいる飛行機を地上から撮影する場合、必然的に離陸と着陸のタイミングで撮影することになる。そのときの風向きなどにより、滑走路の離着陸方向は変化するので、展望デッキや撮影ポイントに着いたら、その方向を確認しよう。また、離陸した飛行機が旋回していく方向や、コースなどは1機ごとに微妙に異なる。その違いや、だいたいの方向性などを判断して、飛行機に対応できるようにしよう。そして前項目の「4」ともつながるが、光の好条件を感じ取り、その瞬間をベストの構図で切り取ることが重要だ。
機体がギラリと光るタイミングをアップで撮影
逆光ぎみの光で機首付近をギラリと光らせたB777をアップで捉えたカット。僕はあとでトリミングするのではなく、撮影時に意図を込めた構図で写し取ることを追求している。
キヤノンEOS 7D MarkⅡ EF100~400ミリ F4.5-5.6L IS Ⅱ USM 絞り優先オート F 9 1/500秒 -0.7補正 ISO200 WB:オート
旋回する方向で形がよく見えるタイミングで写す
離陸直後に右旋回しながら上昇していくシーン。旋回によって、翼の形が良く見え、西日によって全体が照らされている。こうした状況の見きわめも重要だ。
キヤノンEOS 7D MarkⅡ EF100~400ミリ F4.5-5.6L IS Ⅱ USM 絞り優先オート F6.3 1/1250 秒 -0.3 補正 ISO200 WB:オート
西日が差す時間帯は飛行機撮影に最適
西日を真横から受けて飛び立つ旅客機。光の色づきや、機体の光の反射など、夕刻の太陽が低い時間帯は、ドラマチックな飛行機写真が狙えるおすすめの時間だ。
キヤノンEOS 7D MarkⅡ EF100~400ミリ F4.5-5.6L IS Ⅱ USM 絞り優先オート F5.6 1/1600 秒 -0.3 補正 ISO200 WB:オート
Q6.入門者やもっとステップアップしたい人におすすめの機材は?
-Answer-
AF・連写に優れたAPS-C機と優秀な望遠ズームで撮影に臨もう
キヤノン一眼レフの例で紹介するなら、ボディは連写が速く、AF性能も高く、 APS-Cタイプで望 遠に強いEOS 7D MarkⅡがおすすめ。レンズは35ミリ換算焦点距離で500ミリ程度は欲しい。入門者なら低価格ながら画質・AFともに満足のEF70 ~ 300ミリ(Ⅱ型)、さらに上を目指すならEF100 ~ 400ミリ(Ⅱ型)を装備しよう。どちらでもズームを活用して、最適な構図で撮る「ルーク流」でトライしてほしい。
キヤノンEOS 7D MarkⅡ
EF100~400ミリ F4.5-5.6L IS Ⅱ USM
EF70~300ミリ F4-5.6 IS Ⅱ USM
APS-C機と高性能400ミリズームが威力を発揮
EOS 7D MarkⅡとEF100~400ミリ(Ⅱ型)のテレ側(換算640ミリ)で管制塔をバックに離陸機を撮影。高画質なカメラとレンズで立体感高く捉えることができた。
キヤノンEOS 7D MarkⅡ EF100~400ミリF4.5-5.6L Ⅱ IS USM 絞り優先オート F7.1 1/640秒 -0.3補正 ISO250 WB:オート
Profile
達人 ルーク・オザワ
1959年2月 東京生まれ。ヒコーキと向き合って45年、今や航空写真第一人者。風景とヒコーキをシンクロさせた情景的ヒコーキ写真を確立。時に神がかり的な絵創りは見る者に感動を与えている。著書に『JETLINER』シリーズ(イカロス出版)、『ルーク・オザワのヒコーキ写真の撮り方』(誠文堂新光社)がある。
撮影:ルーク・オザワ