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【月の撮影Q&A②】気持ちに響く幻想的な月の撮影方法とは!?

今週末の7/28の早朝(欠け始めはAM3:24頃)に、皆既月食が起きます。この自然現象を上手に撮るため、月の撮影について予習しておきましょう!わかりやすくQ&Aにまとめました。露出や必要なレンズ、望遠鏡を使っての撮影、月の軌跡撮影のコツなどについてご紹介いたします。この先も皆既月食に続く天体イベントが盛りだくさんです。楽しみです。

 

 

 

Question.4 月が移動していく様子を撮影する方法は?

Answer. 月は極端に明るく、長時間露光での撮影は難しいため比較明合成で撮影を行うのがオススメです。

 

月の軌跡を撮る場合は、長時間露光で撮影すると、太い白い線になって描写されてしまうほか、空も明るく写ってしまうので連写による比較明合成がオススメ。このとき、単純な連写でなく、インターバル撮影で数分おきに連写したものを合成すると、月同士が重なる部分が少なくなって、月の形や様子がはっきりとわかる写真にできる。特に皆既月食の際にこの撮影法を行うと、月の色が変化していく様子が連続的に記録され、面白い写真にできる。

 

インターバル撮影で月を合成する

月の軌跡を撮る場合は、2分から5分程度の間隔でインターバル撮影を行い、それを比較明合成するのがオススメ。下の写真では部分月食の様子を2分30秒間隔でインターバル撮影して30枚の合成を行っている。

 

 

部分月食の変化を合成で表現

画面の中央部で部分月食となる位置にフレーミングして、2分30秒間隔でインターバル撮影。比較明合成したことで空が明るくなることもなく、月の変化や様子が確認できる写真にできた。

 

 

Question.5 天体望遠鏡を使うとどんな月が撮れる?

Answer. クレーターのアップなど、通常の望遠レンズでは撮れない月の詳細な様子を写すことができます。

 

月を望遠鏡で撮る場合、一般的な望遠鏡の焦点距離は500ミリから1500ミリ程度なので、直焦点法だと超望遠レンズで撮影した場合と大きくは変わらない。しかし、アイピース拡大法やコリメート法を用いて拡大撮影を行うと、小さなクレーターや月に当たる光の影などを詳細に撮ることができる。ただし、拡大すると思いのほか月の動きが速いので、赤道儀を月追尾モードにして、できるだけ速いシャッター速度で撮影する。ブレにもシビアになるので注意が必要だ。

 

 

直焦点法で撮影

焦点距離およそ500ミリの望遠鏡で直焦点法で撮影。それなりに大きく写せたが、この程度の大きさであれば、望遠レンズのほうが手軽。

 

コリメート撮影の場合

コンパクトデジカメを用いたコリメート法で撮影。倍率が高く、細かいクレーターなどまではっきり確認できる。コリメート法では、一眼より軽量なコンパクト機が扱いやすい。

 

 

Question.6 月の「地球照」って何?どうやって撮影する?

Answer.  地球に反射した太陽の光が、月に当たって欠けた部分がわずかに明るく照らされる現象を「地球照」といいます。

 

地球照とは、地球に反射した太陽の光が月の欠けた部分に当たり、明るく見える現象。新月の前後数日間にわたり見られるが、これは、その時期に地球から反射した光がちょうど月の方向を向いていることによる。この現象は、通常よりも長めに露光を行うことで撮影が可能だ。空が多少明るくなり、月の欠けていない部分は白とびするが、地球照の部分の面積が大きいので、あまり気にならない。限られた時期にしか見られない現象なので一度撮影してみてほしい。

 

数秒の露光を行うことで欠けた部分が明るく写る

地球照は、新月から三日月になる程度の期間に見られる現象で、半月近くになると欠けた部分は暗くなってしまう。露出はISO200、F4で1~2秒前後に設定すると月の欠けた部分をほの明るく写すことができる。

 

200ミリ相当のレンズを使い、手前の木立をシルエットに月の地球照を狙う。露出はISO200、F4で1.6秒。長時間露光のため、空がわずかに明るく再現されたことで、木立のシルエットも際立った。

 

半月近くになると上の写真のように地球照は見えにくくなる。地球照は、限られた時期にしか見られない面白い現象といえる。

 

 

「クレーターが映るくらいのアップで月を撮影をしてみたい」写真好きカメラ好きなら一度は思うでしょう。必ずしも天体望遠鏡が必要ではないので、いま持っているカメラ機材を利用して、挑戦してみてください。