キヤノンは、大幅な軽量化を実現したEOSシリーズ用の大口径望遠レンズ「EF400mm F2.8L IS III USM」「EF600mm F4L IS III USM」を2018年12月下旬に発売する。希望小売価格は400mmが1,680,000円、600mmが1,820,000円(いずれも税別)。
どちらのレンズも蛍石レンズ2枚、スーパーUDレンズ1枚を採用することで色収差を良好に補正し、高解像・高コントラストを実現。また、キヤノン独自の特殊コーティング「ASC(Air Sphere Coating)」を新たに採用し、画質劣化の原因となるフレアやゴーストを抑制する。そのほか、新たな遮熱塗料の採用をはじめ、防塵・防滴構造など、高性能「Lレンズ」にふさわしい優れた基本性能を備える。
■大幅な軽量化
「EF400mm F2.8L IS III USM」は、「EF400mm F2.8L IS II USM」(2011年3月発売)の後継機種。従来機種同等の高画質や耐久性・堅牢性を維持しながら光学系を全面的に刷新。特殊光学材料の活用などにより重さ約2,840gと、従来機種の約3,850gから約1,010g(25%以上)の大幅な軽量化を達成した。
「EF600mm F4L IS III USM」は、「EF600mm F4L IS II USM」(2012年6月発売)の後継機種。重さ約3,050gで、従来機種の約3,920gに比べて約870g(20%以上)の軽量化を実現している。
さらに、フォーカスリングの電子化に伴う機構の最適化など、メカ構造を一新。カーボン強化マグネシウム合金を鏡筒部材に採用し、軽量化した「IS ユニット」を新規設計するなど、各所で軽量化が図られている。
■新たな光学設計で高画質化
「EF400mm F2.8L IS III USM」「EF600mm F4L IS III USM」とも、蛍石レンズ2枚、スーパーUDレンズ1枚などの特殊光学材料を含む13群17枚構成。新しい光学設計により、軽量化を実現しながらも従来機種同等の高画質を実現する。レンズ配置とコーティングの最適化に加え、大幅な反射防止効果を発揮する特殊コーティング「ASC(Air Sphere Coating)」を採用し、フレアやゴーストを抑制する。
■炎天下でもレンズが熱くなりにくい
また、赤外線の反射率を高めた遮熱塗料の採用や、熱伝導を抑制する鏡筒設計を施し、屋外スポーツなどの炎天下における長時間撮影でも、レンズの温度上昇が抑えられるようになっている。マウント部、スイッチパネル、フォーカスリングには、防塵・防滴構造を採用し、レンズ最前面と最後面には油や水滴が付着しにくいフッ素コーティングも施されている。
■手ブレ補正5段を実現
高性能な振動ジャイロの採用、最適なアルゴリズムの構築などにより、シャッター速度換算で5段分の手ブレ補正効果を実現(従来機種は3.5段)。撮影状況に応じて手ブレを抑えることができる「ISモード」は3種類を搭載する。静止した被写体撮影に適した「ISモード1」、流し撮り撮影に適した「ISモード2」、スポーツなど激しく動く被写体の撮影に対応した「ISモード3」だ。
■利便性が向上
フォーカスリングは従来機種のメカ連結式から電子式に変更となり、マニュアルフォーカスの速度を3段階から選択できる機能「マニュアルフォーカススピードスイッチ」が新たに搭載されている。また、事前設定した2点までの任意の位置に速やかにピントを合わせることができる「フォーカスプリセット」を搭載(従来は1点)するなど、利便性も向上した。このほか、AFストップボタン、パワーフォーカス機能、セキュリティースロットを搭載する。
<主な仕様>
■EF400mm F2.8L IS III USM 主な仕様
マウント キヤノンEFマウント
焦点距離 400mm
開放絞り F2.8
最小絞り F32
レンズ構成 13群17枚
画角(水平/垂直/対角線) 35°10′ / 3°30′ / 6°10′
絞り羽根枚数 9枚(円形絞り)
最短撮影距離 2.5m
最大撮影倍率 0.17倍
フィルター径 差し込みφ52mm
サイズ(最大径×長さ) φ163×343mm
質量 2840g
■EF600mm F4L IS III USM 主な仕様
マウント キヤノンEFマウント
焦点距離 600mm
開放絞り F4
最小絞り F32
レンズ構成 13群17枚
画角(水平/垂直/対角線) 3°30′ / 2°20′ / 4°10′
絞り羽根枚数 9枚(円形絞り)
最短撮影距離 4.2m
最大撮影倍率 0.15倍
フィルター径 差し込みφ52mm
サイズ(最大径×長さ) φ168×448mm
質量 3050g
〈文〉柴田 誠