2018年9月26日(水)〜29日(土)の4日間、ドイツのケルンで開催された世界最大の写真・映像用品展示会「フォトキナ2018」。さまざまな新製品が発表されて話題の多かったフォトキナ2018だった。今年の来場者数は会期短縮の影響もあってか約18万人と前回の約19万人を下回った(主催者発表)。また、金曜日の夜は21時まで開場されるなど、新たな動きも見られた。製品ばかりがクローズアップされがちだが、印象も含めてどんなフォトキナだったのかを振り返ってみよう。
■三社協業
ライカ、パナソニック、シグマの3社協業が一気に話題をさらった感があるが、シグマビールもインパクトがあった。実はイベントのお土産としていただいたビールだが、さすがに持って帰ってくるのは大変だったので、美味しくいただいた。
また、パナソニックブースでは「LUMIX S1」のデザインをさまざまに紹介していたが、漢字が使われていたのが印象的だった。
■女性の来場者が多い
会場を歩いていて感じたのが、女性来場者の多さだった。ファミリーやカップルももちろんいるが、女性のグループや一人で来ている女性の姿が目についた。熱心にカメラを操作したり、スタッフに質問したりする姿はあちこちのブースで見られたし、大きなバッグにたくさんの資料を入れて持ち歩いている女性は会場のあちこちで多く目にすることができた。
■ヨーロッパテイスト
写真の好みが日本と大きく違っているというのは、ディスプレイされている写真やデモンストレーションに登場するモデルにも見られる。会場で原色を目にすることがほとんどなかったのは、アジアのイベントと印象が大きく異なる要因なのだろう。言うまでもなく、落ち着いた色合いが好きなんだと感じる。
■プリントが大好き
会場のあちこちに設けられているプリントコーナーは、どこも行列ができていた。会場で自撮りをしている人を見かけることはほとんどなかったが、老若男女を問わずプリントするのは好きらしい。撮影だけで終わらないところが、ヨーロッパの写真文化の奥深さを感じさせる。
■デジタルだけじゃない
デジタルフォトばかりじゃないのがフォトキナの魅力でもある。フィルムやプリントを扱うブースは、規模は大きくはないものの数はそれなりにあって、どこも熱心な来場者がスタッフと話し込んでいるのを見ることができた。
■プリント展示は減少
コンテストの入賞作品や、アート作品、記録的なプリントを展示するコーナーは、大幅に減少していた。また、展示されていたプリントも小さなものが多く、会場の中で目立たなくなっていたのが残念だった。
■恒例のTIPAアワード授賞式
フォトキナの初日に開催される恒例の「TIPAアワード」の授賞式は、今回も開催されていた。40カテゴリーの受賞企業の代表が全員ステージに上がって記念写真を撮影するのが通例となっている。TIPAアワードは、毎年4月に受賞が決定するので、来年以降もフォトキナで授賞式が行われることになるのだろう。
■海外出展ブースも減少
海外出展ブースも中国企業が増えた一時期を思えば、ずいぶん減ってしまった。それでも中国、台湾、香港などのブースが集まった海外出展ブースが見られた。
よしみカメラは、台湾のSTCブースで共同出展していた。下の写真で、ひとつき社長が手にしているのは新製品の角形忍者レフ。
■コスプレイヤーが闊歩
フォトキナ会場をコスプレイヤーが歩き回っているというのも今回はじめてのこと。コスプレした来場者というわけではなく、主催者が用意したレイヤーさんたちだ。SNS映えを狙ってのことだと思われるが、さすがに目立つ。スマートフォンやカメラでの撮影に応じている姿をあちこちで見ることができた。
■夜9時まで開場
通常の開場時間10:00〜18:00が、金曜日だけ21:00までの開場となっていた。日が落ちてからホールを移動するというのは初めての体験で新鮮だった。ちなみにホール1の「Olympus Perspective Playground」は連日23:00まで開場されていた(最終日は18:00まで)。
今回のフォトキナで使用されていたのは、ケルンメッセの11ホールのうち5ホールのみ。上階と下階のあるホールも上階だけというところもあって、通路が塞がれていた。出展社の減少を目の当たりにしたようで、悲しく思えた。
■次回開催は2019年5月
次回からフォトキナは毎年開催となる。次回はおよそ半年後の2019年5月8日(水)〜11日(土)にケルンメッセで開催される。今回同様、日曜日の開催はない。会場マップにも次回の開催日程が印刷されていた。さて、どんなフォトキナになるのだろう。
〈写真・文〉柴田 誠