2018年10月15日から3日間、アメリカのロサンゼルスで開催された世界最大のクリエイティブカンファレンス「Adobe MAX 2018」で、Creative Cloudアプリのメジャーアップデートが発表された。また「Adobe MAX 2018」では、マルチデバイスの制作環境に対応し、デスクトップアプリと連携したワークフローを構築できるiPad版「Photoshop CC」と「Project Gemini」の2つの次世代モバイルアプリのプレビューも公開された。
Photoshopに限定して言えば、今回のメジャーアップデートによって大きく3つのポイントが進化した。デスクトップ版の「Photoshop CC」は、コンテンツに応じた塗りつぶしが一新されたほか、マスキングが簡単なフレームツール、複数の操作を元に戻すなどの新機能が追加され、操作性と機能強化が図られている。また、「Lightroom CC」と「Lightroom Classic CC」ではパフォーマンス向上とワークフローの強化が図られている。さらに新たなクリエイティブアプリケーションのエコシステムの中で、PhotoshopのPSDファイルと他のコンテンツを同期させていくことが発表された。
2点目として、Photoshopのフル機能をスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスで使用できるiPad 版の「Photoshop CC」がプレビュー公開されたこと。タッチ操作でコントロールできるように再設計されたiPad版「Photoshop CC」は、デスクトップ版と同じパワーと精確さを受け継いでいるのが大きな特徴だ。レイヤーパネルも装備され、使い慣れたPhotoshopの編集ツールを使ってタブレットでの画像編集を実現する。レタッチや合成、スポット修復、描画モードなど、慣れ親しんだデスクトップツールとワークフローをすべて使用できる。レイヤーはすべてそのまま保持され、解像度も同じとなっている。タッチ操作で作業ができるという点を考えれば、もしかしたらノートPCよりも操作性はいいかもしれない。
3点目の最新要素が、PhotoshopシステムのどこからでもPSDファイルにアクセスできるようにするクラウドドキュメント。iPad版の「Photoshop CC」で開いて編集したPSDファイルをデスクトップ版のPhotoshopで編集することができるというわけだ。
マルチデバイス対応の「Photoshop CC」の正式リリースは2019年となるが、iPadで画像の編集作業を行なったすべての編集内容をCreative Cloudを介してデスクトップ版「Photoshop CC」で引き継ぎ、両者間を行き来して画像編集をすることができるようになるというのは、非常に便利。Wi-fiがあればどこにいても編集作業ができるという環境が、まもなく現実になる。
〈文〉柴田 誠