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【イルミネーション&ライトアップ撮影の基本②】カメラ設定は試し撮りで適宜確認!

冬は街にイルミネーションやライトアップされた被写体があふれ、カメラを向けたくなる季節。ここでは、それらをキレイに撮るためのカメラ設定や撮影機材などの基本知識から、ツリーやタワー、建物など、被写体ごとの対応法までを紹介する。今回はイルミネーション&ライトアップ撮影のカメラ設定について確認していこう。

 

 

イルミネーションとライトアップをきれいに撮るための基本設定は、三脚使用か手持ち撮影かで少し変わる。またホワイトバランスや仕上がり設定は撮影者の色味の好みもあるので、必ずしも紹介する設定でなくても構わない。

撮影時は、ときどき液晶モニターで撮った画像を部分拡大し、ブレやピンボケがないかを確認することも重要。現場でならすぐに撮り直せるが、帰宅してから気がついたのではアウトだ。

 

イルミネーション&ライトアップ撮影のカメラ設定

① ピント合わせ AFで、「自動選択」もしくは「ゾーンAF」を使用
② 撮影モード 絞り優先オート(A、Avモード)
③ ISO感度 三脚使用ならISO100~400、手持ち撮影ならISO1600~6400
④ 露出補正 1枚試し撮りをしてから適宜、補正を行う

⑤ ホワイトバランス 電球光なら「太陽光(晴天)」、青い光なら「オート」か「蛍光灯」に
⑥ 仕上がり設定 光が赤系なら「スタンダード」、青系なら「風景」がおすすめ
⑦ ノイズ低減 高感度ノイズ低減は「標準」か「強め」、長時間ノイズ低減は「オート」
⑧ 手ブレ補正 三脚使用なら「OFF」、手持ち撮影なら「ON」にする

今回は①~④までを紹介する。

 

カメラ設定① ピント合わせ

AFで、「自動選択」もしくは「ゾーンAF」を使用

昼の撮影同様に、夜もAF(オートフォーカス)で基本的にはOK。その際、測距点がピンポイントな1点選択にしていると、そこが夜空に当たるときはAFが合わないので、なるべく広い測距エリアを選択しよう。通常は最も広い「自動選択」で大丈夫だが、特定の箇所に合わせたければ「ゾーンAF」などが有効だ。 

 

自動選択

被写体の多くは遠景になるので、ピントを合わせる位置は特に気にしなくて問題ない。「自動選択」に設定しておけば、カメラが適切な場所を判断して合わせてくれる。 

 

ゾーンAF

この場合は奥のツリーにピントを合わせたかったが、「自動選択」では手前の木に合ってしまう。上のように「ゾーンAF」を選んで、測距エリアをツリーに重ねて撮影している。

 

カメラ設定② 撮影モード

絞り優先オート(A、Avモード)

イルミネーションやライトアップの撮影は、絞り値を変えることで被写界深度やボケをコントロールしたいので、「絞り優先オート」が適している。イルミネーションならボケを生かしてほんわか写真に、ライトアップならパンフォーカスで建物全体にピントが合った写真がおすすめだ。 

 

F11

パンフォーカスを狙う

手前の石畳から奥のライトアップされた建物までピントを合わせたかったので、絞りをF11まで絞り込む。15秒という長秒露光になったが、三脚を使用すればOK。画面の隅々までシャープに写せた。

 

F4

ボケを狙う

歩道脇で点灯していたイルミネーションをカメラ(レンズ)直前まで近づけて、絞りを開放にセットし、奥の建物にピントを合わせて撮影。きれいな建物だが、前ボケの明かりでさらに印象的に仕上がった。

 

カメラ設定③ ISO感度

三脚使用ならISO100~400、手持ち撮影ならISO1600~6400

三脚を使う場合は、露光時間が数秒以上の長秒露光でもぶれることなく撮れるので、画質がきれいな低感度を選ぶ。一方、手持ちで撮る場合は、画質の良さよりもぶれないことが優先される。そのため、ISO感度を上げるほどノイズは増えるものの、高感度を選択することになる。

高感度はノイズが増えるから使わない、というのはデジタルカメラ黎明期の話。現行の一眼レフなら性能もだいぶよくなったので、積極的に使ってOK。一度、高感度の試し撮りを行い、自分のなかでのノイズの出方の許容範囲を知っておこう。

 

カメラ設定④ 露出補正

1枚試し撮りをしてから適宜、補正を行う

カメラの自動露出で撮ると、構図のなかの明暗の割合によって、仕上がりは大きく変わる。まずは露出補正なし(±0)で1枚撮り、その結果を見て、補正が必要なら次のカットで施そう。イルミネーションはプラス補正で、ライトアップはマイナス補正で撮ることが多い。

 

±0 → +1.7

カメラの自動露出は、明るいイルミネーションを標準的な明るさに写すため、見た目より暗い印象に。イルミネーションのキラキラ感を表現するため、プラス1.7補正で最適となった。

 

±0 → -0.7

背景が暗いので、カメラの自動露出はその部分を明るくしようと判断し、ライトに照らされた建物が露出オーバーになってしまった。そこで、マイナス0.7補正して撮り直した。

 

イルミネーション&ライトアップ撮影のカメラ設定の⑤~⑧は、次回に紹介します。

 

 

写真・解説/川北茂貴