冬は街にイルミネーションやライトアップされた被写体があふれ、カメラを向けたくなる季節。ここでは、それらをキレイに撮るためのカメラ設定や撮影機材などの基本知識から、ツリーやタワー、建物など、被写体ごとの対応法までを紹介する。今回はイルミネーション&ライトアップ撮影のカメラ設定について確認していこう。
イルミネーション&ライトアップ撮影のカメラ設定
① ピント合わせ AFで、「自動選択」もしくは「ゾーンAF」を使用
② 撮影モード 絞り優先オート(A、Avモード)
③ ISO感度 三脚使用ならISO100~400、手持ち撮影ならISO1600~6400
④ 露出補正 1枚試し撮りをしてから適宜、補正を行う
⑤ ホワイトバランス 電球光なら「太陽光(晴天)」、青い光なら「オート」か「蛍光灯」に
⑥ 仕上がり設定 光が赤系なら「スタンダード」、青系なら「風景」がおすすめ
⑦ ノイズ低減 高感度ノイズ低減は「標準」か「強め」、長時間ノイズ低減は「オート」
⑧ 手ブレ補正 三脚使用なら「OFF」、手持ち撮影なら「ON」にする
今回は⑤~⑧までを紹介する。
前回の①~④までの詳細はこちら:https://getnavi.jp/capa/special/272945/
カメラ設定⑤ ホワイトバランス
電球光なら「太陽光(晴天)」、青い光なら「オート」か「蛍光灯」に
暖色系の色である電球光は、ホワイトバランスを「太陽光(晴天)」にすると見た目に近い色合いで写せる。近年のイルミネーションでよく見かける青い光の場合は、「オート」か「蛍光灯」がおすすめ。ただし、夜の光景はさまざまな光源が混在しているので、すべてを見た目どおりの色にするのは不可能に近い。RAWデータで記録しておき、あとから変更するのも手だ。
「オート」
○「太陽光」
実際のレンガは「オート」で撮ったほうの色に近いが、もう少し赤味を足して雰囲気を出したいので、ここでは「太陽光」にセットしてみた。赤いレンガの色がイメージどおりに表現された。
○「オート」
「白色蛍光灯」
どちらの色もよいが、真ん中のツリーの緑色を強調したいので、この場合は「オート」を正解とした。LEDライトはさまざまな発色の特性があるので、設定を変えつつの試し撮りが欠かせない。
カメラ設定⑥ 仕上がり設定
光が赤系なら「スタンダード」、青系なら「風景」がおすすめ
ホワイトバランスほどではないが、仕上がり設定でも色は変わる。特に赤や青は変化が表れやすいので、それらを調整したい場合は設定を変えてみよう。「風景」は青系が鮮やかになるが、赤系が色飽和して階調がなくなりやすい。赤が多い被写体は「スタンダード」を選ぼう。
○「スタンダード」
「風景」
鳥のオブジェと背景のボケの色の変化に注目。「スタンダード」は、「風景」に比べて飽和することなく、赤がはっきりと表現された。背景の青いボケが鮮やかなのは「風景」だ。
「風景」
「スタンダード」に比べて派手な色合いに仕上がる「風景」は、構図に占める暗い部分が多いときに特に効果的だ。ライトアップされたタワーや施設、それに水面に映る光も派手に表現できた。
カメラ設定⑦ ノイズ低減
高感度ノイズ低減は「標準」か「強め」、長時間ノイズ低減は「オート」に
一般的にISO感度が高くなるほど、また露光時間が長くなるほど、ノイズが増えていく。これらを目立たなくさせるノイズ低減機能がカメラには搭載されているが、それぞれに長所、短所がある。私は、高感度ノイズ低減は「標準」か「強め」でノイズを減らし、長時間ノイズ低減は「オート」でカメラ任せにしている。
手持ち撮影では高感度設定だが、その分ノイズも目立ってくる。「強め」ではノイズは低減されるが若干解像感が落ちるので、気になる場合は「標準」に。
「する」だと露光時間と同じ時間をかけて、「オート」では必要だとカメラが判断した場合のみ処理を行う。長い処理時間が好ましくないときは「オート」。
カメラ設定⑧ 手ブレ補正
三脚使用なら「OFF」、手持ち撮影なら「ON」にする
手持ち撮影する際の強い味方である手ブレ補正機能だが、ONにしたままカメラを三脚につけて長秒露光で撮ると、補正機能が働いたままなので、逆にぶれてしまうことがある。三脚を使った長秒露光では、手ブレ補正をOFFにするのが鉄則だ。
写真・解説/川北茂貴