2018年平成最後の冬、風景としての雪、スナップとしての雪、「雪」でも様々な撮影描写ができます。今回は、被写体としての「雪」を撮るテクニックの数々をご紹介いたします。
雪景色撮影は、当たり前ですが画面の中に雪の白が多いということに注意が必要になります。ホワイトバランス、露出、構図、光という項目ごとに、白い被写体を印象深く表現するための基本テクニックはもちろんのこと、寒さ対策、スノーレジャー、寒冷地での撮影機材のトラブル対策など、冬の撮影で必要な知識を盛りだくさんにご紹介していきます。
基本テクニック
BASIC.1 ホワイトバランス設定で冷たさを感じる青みを引き出す
被写体の色を忠実に再現するのがオートホワイトバランスの役割。つまり、肉眼で見たときに感じる赤みや青みの影響も抑えてしまう。忠実な色再現よりも、色みを生かした臨場感のほうが作品としては大切なので、晴天昼間の色を基準にした晴天(太陽光)モードを使おう。
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オートだと朝日の赤みが失われてしまうことが多いが、このときは見た目以上に赤くなってしまった。仕上がりを予想しづらいのもオートの難点だ。
オート
現場で見たような青みがなく、雪の白は出ているが冬の朝らしい冷たさは感じられない。オートでは被写体本来の色が優先される。
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晴天
晴天モードで冬の冷たさを引き出す
色温度の高さにより青みが残り、冬の朝らしい冷え込んだ雰囲気が感じられる。昼間の光を基準にした晴天モードは現場の色がストレートに反映されるため、その時々の臨場感が感じられるのがよいところだ。
21ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/40秒) +0.3補正 ISO200 WB:晴天
雪景色撮影の正解は白くしない、明るくしない
雪景色の撮影で気をつけたいのは色みと明るさ、つまりホワイトバランスはオートを使わず、晴天(太陽光)モードを基本にしましょう。朝夕の赤みを生かしたり、日陰の冷たい青みを引き出したりといった、現場の光を大切にした色表現が可能となります。
逆にオートだと朝日の赤や日陰の青などに染まった雪の色が白色に補正されてしまい、平凡な印象になりがち。雪景色の冷たさを強調するために、より青みの強い色にしたい場合は、色温度設定などでホワイトバランスを微調整すると、イメージに合った色みにできます。
霧に包まれた霧氷林。オートよりも晴天モードのほうが青みが感じられ、現場の見た目に合わせるなら晴天モードが正解。しかし、冷たさを表現するにはまだ弱い印象。電球モードだと青みが強すぎて不自然である。
晴天、電球、曇天などの項目のほかに、色温度を細かく指定できるカメラが多い。機種によっては、青みを強くするといった微調整ができる場合もある。
3500K
色温度を指定してベストな青みを引き出す
電球モードでは青みが強すぎるため、全体の青みの強さをイメージに合わせようと色温度を直接数値で指定してみた。霧氷の白色を引き出すというよりも、冬の朝らしい冷たさ、静けさを狙った表現だ。
200ミリ相当 絞り優先オート(F16 1/200秒) -0.7補正 ISO200 WB:3500K
写真・解説/深澤武