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【雪景色撮影の超攻略術③】単調になりがちな雪景色は、構図取りで立体感やボリュームを出す!

2018年平成最後の冬、風景としての雪、スナップとしての雪、「雪」でも様々な撮影描写ができます。今回は、被写体としての「雪」を撮るテクニックの数々をご紹介いたします。

雪景色撮影は、当たり前ですが画面の中に雪の白が多いということに注意が必要になります。ホワイトバランス、露出、構図、光という項目ごとに、白い被写体を印象深く表現するための基本テクニックはもちろんのこと、寒さ対策、スノーレジャー、寒冷地での撮影機材のトラブル対策など、冬の撮影で必要な知識を盛りだくさんにご紹介していきます。

 

 

基本テクニック

BASIC.3 縦横、前景、アングル&構図の基本を活用しよう

単調になりがちな雪景色を撮るときに大切なのが構図。広がりが伝わる横位置と高さを出しやすい縦位置を使い分けるのはもちろん、前景を入れて奥行きを引き出したり、カメラのアングルを変えて立体感を表現したりといった工夫をしてみよう。構図の違いによって作品のバリエーションは大きく広がる。
 

タテ位置

縦位置で高さや奥行きを生かす
縦位置にするとカラマツ林や空の高さが感じられるようになる。また雪原に描かれたカラマツ林の影が生き、奥行き感も引き出せた。雪のキャンバスは逆光線による影を生かしやすい。

22ミリ相当 絞り優先オート(F16 1/500秒) 補正なし ISO200 WB:晴天

 

 

ヨコ位置

横位置で広がりを生かす
広大な雪原に端正な姿を見せてくれるカラマツ林を、太陽をワンポイントとして逆光線で撮影。横位置で撮影することでカラマツ林と雪原、空の広がりを生かすことができる。

20ミリ相当 絞り優先オート(F16 1/400秒) -0.3補正 ISO200 WB:晴天

 

 

前景

川の流れによる造形を狙って望遠レンズで切り取った。単調になりがちな雪景色にあって、川の流れは構図的な変化を与えてくれる。ただし、まだ平面的な印象は拭いきれない。

前景に枯れ木を入れて奥行き感を引き出す
川の流れだけでは平面的なので、前景に木立を入れることで遠近感を出すことを狙った。前景に形のよい枯れ木を選び、さらに川の流れが手前を広く、奥に行くに従って細くなるようにして奥行き感を引き出した。

90ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/125秒) -0.7補正 ISO400 WB:晴天

 

 

構図の工夫と光の選択で雪景色の単調さを避ける

雪景色撮影の難しさの一つは、白一色で単調な画面になってしまうことです。特に広々とした風景をそのままフレーミングすると、平面的で面白みのない写真になってしまいます。構図を決める際には雪景色の中に何かポイントになるものを盛り込むことが大切です。

樹木、川、影、家、人物などをアクセントにしてフレーミングしてみましょう。広がりや奥行きが感じられる写真になります。また、撮影位置やカメラのアングルを工夫することで画面に変化を付けることもできます。
 

 

アングル

純白の白馬三山を背景に、川の流れを前景にして、27ミリ相当の広角レンズで撮影した。引き気味のポジションで撮影しているため、1mを超える積雪の存在感が弱くなってしまった。

上の写真とポジションは同じだが、45ミリ相当の標準レンズで撮影することで、雪山や川べりの積雪の迫力を引き出した。ただ山の存在感に積雪の力強さが追いついていない印象だ。

ローアングル撮影でボリュームを引き出す
川べりまでポジションを下げてローアングルで撮影することで、同じ47ミリ相当のレンズでも積雪の高さが一層際立って見える。雪山を背景に、豪雪地帯らしい雪の迫力が感じられる。

45ミリ相当 絞り優先オート(F11 1/350秒) 補正なし ISO100 WB:晴天

 

 

写真・解説/深澤武