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【雪景色撮影の超攻略術⑦スナップ編】銀世界の街中にも撮影チャンスはいっぱい!おすすめテクで個性派スナップ

2018年平成最後の冬、風景としての雪、スナップとしての雪、「雪」でも様々な撮影描写ができます。今回は、被写体としての「雪」を撮るテクニックの数々をご紹介いたします。

雪景色撮影は、当たり前ですが画面の中に雪の白が多いということに注意が必要になります。ホワイトバランス、露出、構図、光という項目ごとに、白い被写体を印象深く表現するための基本テクニックはもちろんのこと、寒さ対策、スノーレジャー、寒冷地での撮影機材のトラブル対策など、冬の撮影で必要な知識を盛りだくさんにご紹介していきます。

 

 

街中ならではの色みを生かすのがポイント。夜間の人工灯も格好の被写体として活用しよう

降雪地帯でなければ、雪が降るのは年に数回の大きなイベント。普段とは違う姿を見せる街に飛び出し、スナップ撮影を楽しみたいと思う人も多いでしょう。そうした街中を中心とした撮影で気をつけたいポイントをご紹介します。
 

 

① 行き交う車のヘッドライトを雪景色のアクセントに

レンガの建物も本来は暖色なのだが、雪が降るとこんな色にくすんで再現されてしまう。そこで暖色を強く意識して被写体を狙ってみよう。

同じ建物を離れた場所から撮影。車のヘッドライトをワンポイントにと考えていたら、タイミングよくフォグランプを点灯した赤いタクシーが。赤みが加わることで寒色が一層引き立った。

28ミリ相当 絞り優先オート(F7.1 1/20秒) 補正なし ISO200 WB:太陽光

 

 

暖色のワンポイントで作品に奥行きが生まれる

雪が降る場面を撮影すると、どうしても寒々とした雰囲気になるもの。それはそれで冬らしいのだが、画面内が寒色のみで占められると、非常に平面的な印象を受ける。そこでちょっとだけ暖色を加えてみよう。視線を誘導することで、画面に奥行きが生まれてくるはずだ。
 

 

② 色が持つ視覚効果を最大限に活用しよう

モノトーンの景色の中に暖色系の傘を差した3人組がいた。観賞者の視線は色みの強い部分に引きつけられるので、雪でかすんだ遠くとの対称により、自然と画面に奥行きが生まれる。

45ミリ相当 絞り優先オート(F2.8 1/125秒) 補正なし ISO200 WB:太陽光

 

 

③雪がカラフルな被写体を引き立てることも

大雪の日に車で信号待ちをしていると、目の前を成人式を終えた一行が通りかかった。すかさず助手席に置いていたカメラでスナップ。雪の日はシャッタ ーチャンスの宝庫でもある。

45ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/80秒) 補正なし ISO200 WB:太陽光

 

 

色や遠近感を意識して銀世界の街を表現しよう

銀世界という言葉があるとおり、雪は見慣れた街を一変させてくれる存在でもあります。ぜひカメラを持って狙ってみましょう。もっとも雪国でない地域では雪がなかなか残りません。つまり雪が降っているときこそ、絶好の撮影タイムということになります。晴天で積雪を撮れる雪国とは違いますが、雪が降るなかでもさまざまな表現は可能です。

雪の降る街を撮影するときに気をつけたいのは、曇天ゆえに普段より色みがずっと失われてしまうこと。積雪でいろいろなものが覆われてしまうのも、被写体としては面白いのですが、色みという面では難しい要因の1つです。

そこで構図の中に色を取り入れたり、色を捨ててモノクロで撮影したりするのも1つのテクニックです。暖色系は寒さや積もった雪の冷たさを引き立てる役割があります。またモノクロで撮影することで、雪の白さをストレートに表現することもできます。
 

 

④ 印象的な一部分をクローズアップ

望遠レンズやマクロレンズがあるのなら、一部分を切り取るのも面白い。ト ーンや形の美しさで1枚の作品ができるはずだ。ビルを背景にうっすら雪をかぶった街路樹を狙ってみた。

90ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/15秒) 補正なし ISO100 WB:太陽光

 

 

レンズワークで雪ならではの写真に仕上げよう

雪景色はただ漠然と撮影すると、明暗のコントラストが強いだけの写真になったり、遠近感の乏しい写真になったりしがちだ。そこでカギとなってくるのがレンズの使いこなし。焦点距離や絞りを巧みに選択することで、印象的な冬のワンシーンを表現することができる。
 

 

⑤ 雪の積もった空間を広角でワイドに捉える

広角レンズのワイド感も、雪景色を写すには効果的だ。28ミリ相当で一面に雪が積もる様子を表現してみた。遠景だけでは平面的になるので、人物などを配するのがポイントだ。

28ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/50秒) 補正なし ISO100 WB:マニュアル

 

 

さらにレンズの選択にも気を配ってみましょう。同じ降雪量でもレンズの焦点距離で写真の印象はかなり異なります。また平面的に写りがちな被写体だけに、絞りを開けてボケを強調するのも使えるテクニックでしょう。
 

 

⑥ 明るいレンズによるボケで立体感を引き出す

強いボケを引き出せる大口径レンズがあれば、積雪を立体的に捉えてみよう。滑らかな雪の表面の一点にピントを合わせることで、真っ白な画面にもふわ っと遠近感が生まれてくる。

50ミリ相当 絞り優先オート(F2 1/320秒) 補正なし ISO1600 WB:オート

 

 

⑦望遠レンズの圧縮効果で降雪の多さを強調

雪が降っている様子を望遠で撮影すると、圧縮効果のせいで降雪の密度が高まり、より激しく降っているように写る。テレビのニュースで大雪の様子を伝えるときにも使われるテクニックだ。

90ミリ相当 絞り優先オート(F5.6 1/13秒) 補正なし ISO100 WB:太陽光

 

 

写真・解説/鹿野貴司