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【雪景色撮影の超攻略術⑩雪&鉄道編】雪と合わせて“鉄道”を撮る。吹雪の中の列車をかっこよく撮る方法

2018年平成最後の冬、風景としての雪、スナップとしての雪、「雪」でも様々な撮影描写ができます。今回は、被写体としての「雪」を撮るテクニックの数々をご紹介いたします。

雪景色撮影は、当たり前ですが画面の中に雪の白が多いということに注意が必要になります。ホワイトバランス、露出、構図、光という項目ごとに、白い被写体を印象深く表現するための基本テクニックはもちろんのこと、寒さ対策、スノーレジャー、寒冷地での撮影機材のトラブル対策など、冬の撮影で必要な知識を盛りだくさんにご紹介していきます。

 

※本記事は『デジキャパ!』2014年1月号をもとに制作しております。記事の内容は当時のものです。

 

撮り慣れた被写体も雪と一緒ならガラッと変わる!合わせて撮りたい雪と鉄道

雪景色は主役としても脇役としても存在感があります。さまざまなジャンルのカメラマンが撮影した、雪景色と組み合わせて絵になる被写体を紹介。そのテクニックとともに、被写体へのアプローチの仕方を確認しましょう。

 

SNOW & Train Technic 1

吹雪いているほうがかっこいいがコンティニュアスAFは使えない

アップで列車を撮影する際に便利なコンティニュアスAF。しかし、降雪時の撮影ではこの機能は使えない。なぜならAFが列車の前に舞う雪を追従し、誤作動してしまうことがあるからだ。そのため、列車の先頭が来る位置にあらかじめピントを合わせておく「置きピン」が活躍する。
 

 

直前までの雪がやみ、日が差してきた。悪くないが迫力に欠ける。晴れている間に架線やレールで置きピンしておこう。

吹雪の中を走る列車を撮ると迫力が出る
北国の天候は瞬時に変化する。列車が来る寸前、にわかに強まった吹雪を貫く特急「スーパーカムイ」。雪が止んでいるときに置きピンをしておかないと、雪でピントが見えづらい。

480ミリ相当 マニュアル露出(F10 1/320秒) ISO200 WB:太陽光

 

 

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こちらは逆に雪が強すぎて車体が見えなくなってしまった。迫力はあるもののさすがにこれでは何がなんだかわからない。
 

 

雪がやんだら風景的に、吹雪ならアップで狙う

北国の鉄路はこの季節、毎日が雪との戦い。しかし、過酷な自然環境下を行く列車は大迫力かつ、とても美しいのです。まず出発前に列車の運行状況を入念に確認しましょう。昨今、天候の悪化が予想されると前日から運休が発表されることがあります。また、運行されていても遅延が発生することがあるので、常に最新の情報に耳を傾けましょう。さらに、積雪があると雪が走行音を吸収し、列車の接近に気づきにくいので要注意。撮り逃さないようにしましょう。

続いて天気も大きなポイント。風景的に鉄道を狙う場合、降雪予報が出ていると見通しが効かず撮影できません。理想は前の晩に降雪があり、明け方にやむパターン。こうなると夜間に降った雪が木々を白く飾り、美しい情景になります。逆に日中に降雪がある際は車両をアップにした撮影に切り替えると、迫力のある走行写真を撮影することができます。降雪地域の天候は刻一刻と変化するので、臨機応変な判断が必要です。
 

 

SNOW & Train Technic 2

木に雪が付いている時間に撮影したほうがきれい

雪化粧した鉄道風景を狙うなら、木々に雪が付いているタイミングで撮影しよう。どんなに地面に雪があ っても、木に雪がないと枯れ枝が目立ち暗い印象になる。とはいえ、地方の鉄道は本数が限られる。気温が上がると雪はどんどん落ちていくので、ミスして撮り逃さないように慎重に撮影に臨もう。
 

 

雪の晴れ間は撮影チャンス!雪が解ける前に撮影しよう
きらめく雪晴れの風景は厳しい雪国に訪れるつかの間の癒やしだ。しかし、太陽が出るとどんなに気温が低くても、あっという間に木に積もった雪が落ちる。まさに一発勝負の大一番!

32ミリ相当 マニュアル露出(F8 1/1250 秒) ISO200 WB:太陽光

 

 

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地面は積雪しているが木には雪が付いていないため、画面全体が暗い印象になってしまった。
 

 

写真・解説/村上 悠太