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人気フルサイズミラーレスの実用度を比較テスト!①EVFの見やすさは?

新機種が続々登場して、注目が集まるフルサイズミラーレスカメラ。今、いちばん「写す力」の高いフルサイズミラーレスはどれなのか? 重要ポイントでの実用度をチェックする。今回テストするのは、EVFの「階調や周辺までの見やすさ」だ。

 

フルサイズミラーレス実用度テスト

 

注目するのは、「表示のチューニング」と「光学系の性能」

ミラーレス機となって、ファインダーもEVFがもはや主流。一眼レフの光学ファインダーに慣れた人にとっては戸惑いがあるかもしれないが、表示方法の自由度や拡大表示、暗所での強さなどメリットは大きい。ここでは、そんなフルサイズミラーレス機のEVFの見栄え、性能などをまずは比べていきたい。
 

 

ニコン Z7

ファインダーはZ7、Z6共通スペック。隅まで色収差がなく、枠部までとてもクリアに見える。歪みも感じられない。倍率は0.8倍、アイポイントは21ミリと結構大きめ。

 
ファインダー内
画面は大きく階調はニュートラル

レイアウトは下段の情報表示の並びが一眼レフに準じているが、文字が少し小さくなっている。縦位置時の情報表示全面切り換え機能はない。全面を見渡しづらいときがあるほど表示が大きめ。絵柄部分はニュートラルで階調描写も見やすい印象。

 
撮影した写真


 

 

ソニーα7R III

パネルはα7R IIIが Quad-VGAで、α7 IIIはXGA。収差が抑えられ、隅々までクリア。倍率は0.78、アイポイント23ミリで、眼鏡ユーザーにも使い勝手が良い。

 
ファインダー内
表示はやや細かめ 絵柄はニュートラルな再現

レイアウトは初代からあまり変わりなく、ソニーらしい細かく感じる表示。縦位置時の表示切り換えや、表示の大きさ変更の機能はない。絵柄部分のコントラストはニュートラル。フレームレートは60、120fpsが選べるようになっている。

 
撮影した写真


 

 

キヤノン EOS R

倍率は0.76倍、アイポイントが約23ミリで全体を見渡しやすく見やすいファインダー。光学系は若干周囲で色収差、タル型収差が残るのは惜しい。アイカップは唯一固定式。

 
ファインダー内
表示の親切さは◎ コントラストは若干高めだ

レイアウトは一眼レフEOSに似て文字も大きく確認しやすい。縦位置表示、情報を外に出した表示モードも選択でき、表示手段は多彩だ。絵柄部分は、若干コントラスト高めのチューン。フレームレートは省電力、滑らかさ優先の2つから選べる。

 
撮影した写真


 

 

横並びの有機ELのスペックながら階調チューンや光学系による見え方にかなり差があるフルサイズ機

上級機のトレンドは、0.5型の有機ELで、その解像度はクアッドVGA、つまり1280×960で、その1つの画素がRGB3画素からできているので1280×960×3=約369万ドットということになる。α7 IIIなど中級機ではXGAを採用している機種もあり、この場合は1024×768×3=約236万ドットということになる。今回メインとして取り上げた3機種は共にクアッドVGAを採用している。

ただ、数字的には同じスペックだが、メーカーごとにコントラストや色調などのチューニングは大きく異なる。さらに、ファインダー光学系性能の差、アイポイントや倍率による見やすさの差、アイカップのフィット感もあるだろう。

以上の点を踏まえてチェックすれば、見栄えのチューニングでは少々コントラストや色が強めのEOS Rに対し、他2機種はナチュラルな印象。光学系では、歪みなく隅々までクッキリ見える点でZ7やα7R IIIは優位。さらに倍率では大きく見えるZ7が優位だが、逆に少々大きめな感もあり、眼鏡ユーザーにとっては若干隅を確認しづらく感じることもある。
 

 

EOS Rで撮影
バリアングルモニター搭載ということもあり、EVFでも縦位置表示切り換えを率先して採用しているEOS R。EVFならではのメリットを存分に活用している。

キヤノン EOS R RF24-105mm F4 L IS USM 絞り優先オート F4 1/400秒 ISO400 WB:オート

 

 
写真・解説/増田賢一
モデル/草野 結(シェリーズ・エンタテインメント)