新機種が続々登場して、注目が集まるフルサイズミラーレスカメラ。今、いちばん「写す力」の高いフルサイズミラーレスはどれなのか? 重要ポイントでの実用度をチェックする。今回テストするのは、EVFの「色の再現・調整」だ。
- テスト① EVFの見やすさチェック! → https://getnavi.jp/capa/special/282698/
- テスト③ EVFの動き表示チェック! → https://getnavi.jp/capa/special/283280/
- テスト④ 測距点選択の操作性チェック! → https://getnavi.jp/capa/special/283539/
- テスト⑤ 露出補正の操作性チェック! → https://getnavi.jp/capa/special/283579/
EVF描写の細かな特徴をつかめば実際の仕上がりをしっかりイメージ可能
EVFと背面モニターの意味合いの異なるところは、EVFはのぞき込むために外光の影響を受けにくいということ。例えば明るい場所ではモニターは見にくくなるが、EVFはその影響が少ない。もちろん環境による目の慣れがあるが、モニターよりは安定した状況で観察できる。だからこそ、結果に対する再現性の高さが重要で、調整機能が付いているとありがたいのだ。
ここでのテストでは、デフォルト設定での再現性、特に気になるハイライト階調やシャドー階調の見え方、色の傾向などをチェックしてみた。条件を一定にするため、プリントした写真をサンプル(被写体)として、それを複写する形で比較した。照明は撮影用のLEDで照らしている。色階調モードは各社スタンダードに設定、その見た目の印象でチェック。さらにEVFを色温度、露出を一定にした状態で撮影したものだ。
ニコン Z7
階調はニュートラル、十分な階調幅でハイライトもシャドーも確認しやすい。デフォルトではいちばんオリジナルに近く映し出されている。倍率は大きすぎる感じで、ひとまわり小さい表示もほしい。
ソニー α7R III
ニュートラルな階調描写で、ハイライト部やシャドー部の階調確認もしやすい。中間階調も滑らかな描写。色は若干抑えめに感じ、見続けても疲れにくい印象。実際のプリントとの差は少なめ。
キヤノン EOS R
今回の中ではメリハリ強めで、色も少し派手めに表示される。そのぶんパッと見はテレビ的でわかりやすい印象。あくまでもザックリとチェック、絵柄はもちろん、情報をしっかり見せつける印象だ。
ニコン Z6
スペックがZ7と同等で、見え方もほぼ同じ。ミドルクラスとしてはトップレベルのファインダー描写力といえるだろう。階調もハイライトやシャドーの明暗両端部描写も滑らか。情報表示は細かめ。
ソニー α7 III
今回の中では唯一XGAだが、滑らかさという点では十分。ただし、髪のディテール描写などα7R IIIでは出なかったモアレが出る場合もあった。階調はニュートラルで、色は少し抑えめな印象だ。
ニュートラルなニコンZ、ちょっと硬めのEOS R
やはりEOS Rは他機種と比べても少々コントラスト強めの印象。EOS M5なども近い傾向で、EOS系の特徴なのかもしれない。ニコンは最もニュートラルに近い印象で、Z7、Z6両者の見え方の差はほぼ感じない。α7R IIIもニュートラルだが、若干色が浅めに感じる。α7 IIIは同じ傾向だが、唯一XGAのせいか場所によっては少しモアレが出やすい部分もあった。
ここでテストした機種は、どれも明るさ、色調の調整機能はしっかり搭載されている。ただコントラストは変更できない。ときにはPCモニターと照らし合わせ、傾向をつかんでおきたい。
ギャラリーで比べてみてみよう!
EVFの色・明るさ調整機能チェック
ニコン
やはりZ7、Z6共通で、調整項目は2つ。[ファインダーの明るさ]で±5の範囲で明るさ調整、[ファインダーのカラーカスタマイズ]でA-B、G-M両方向で細かく色温度調整できるようになっている。
ソニー
α7R III、α7 IIIとも同じメニューで、調整項目は2つ。[ファインダー明るさ]で±2ステップで明るさ調整、[ファインダー色温度]で±2の範囲で色温度調整ができる。色温度調整は微調整のレベルだ。
キヤノン
[画面の明るさ]で1~5の範囲で明るさ調整、[画面の色調]で1~4の選択肢で色温度を調整できる。色温度では数値ではなく[暖色][標準][寒色1][寒色2]という選択肢になっている。
写真・解説/増田賢一
モデル/草野 結(シェリーズ・エンタテインメント)