光陽オリエントジャパンは、可視光から近赤外域(250〜2000nm)で、全反射率1%以下を達成した内面反射防止素材「内面反射防止シール ファインシャット極」を2019年3月11日に発売した。
マウントアダプター内面の反射防止という需要を想定している製品だ。サイズは190×53mmで両面テープ付き。Amazonでの販売価格は2,300円(税込・送料無料)。
▲マウントアダプター貼り付け例。
▲左の写真はマウントアダプターの内面に何も貼り付けていない状態。右がファインシャット極を貼り付けたもの。スポット光による反射が抑えられている。
「内面反射防止シール ファインシャット極」は、2018年に発売された「レンズフード反射防止キット」に使用されている反射防止シート「ファインシャットSP」の表面形状を改善し、反射防止性能をさらに向上させたもの。「ファインシャットSP」は、主に一眼レフカメラのミラーボックス壁面の反射防止部材などで採用されている企業向けの製品で、さらなる反射防止性能の要望を受けて開発されたのが本製品。反射防止素材のなかでも最高の性能を持っているのが特徴で、これまでは企業向けの販売のみだったが、「内面反射防止シール ファインシャット極」として、一般向けに発売が開始されたものだ。ちなみにAmazonでは、企業向けの大判サイズ480×280mmも販売されている。
■可視光~近赤外域の全反射1%以下
反射防止の代表的な素材である植毛は、可視光での反射防止性能は高いものの近赤外域の反射防止性能が非常に弱いという特性がある。「ファインシャット極」は、近赤外域に至るまで反射防止性能を維持しているため、天体撮影など近赤外域が重要な撮影に適している。
▲左の写真はマウントアダプター内面に何も貼り付けていない状態で撮影。右は、マウントアダプター内面にファインシャット極を貼り付けて撮影。画面左下のフレアが軽減され、コントラストも上がっている。
■微細発泡による光吸収機構のため毛落ちなし
植毛処理では、植毛が抜け落ちてセンサーへの写り込む場合がある。「ファインシャット極」は、基材の発泡層で光を吸収する構造となっているため、ゴミ問題が発生しないのが特徴で、センサーの近くでも使うことができる(但しダストフリーを保証するものではない)。
■発泡ウレタンシートなので取扱いもカンタン
「ファインシャット極」は、発泡ウレタンシートの柔らかい素材でできているので、比較的に取り扱いが簡単だ。反射防止のためのマット塗装は、接触等で光沢が出てしまうことがあるため、繊細な取り扱いが求められるので、手間がかかる。また「ファインシャット極」は、加水分解の心配がない点も扱いやすい。
〈文〉柴田 誠