春から初夏の山林を淡い紫色で彩る爽やかな姿を見かけたり、フジ棚を設けた公園ではボリュームあるフジの姿を目にしたりすることができます。フジの撮影では花の密度が高い所を切り取ることが鉄則です。密なところとまばらな所に差がある野生のフジはもちろん、フジ棚でもボリューム感を生かせるポジションを選んで撮影しましょう。
垂れ下がって咲くフジらしさを生かすにはアングルの選択とフレーミングが重要
フジ棚は近づきやすいので広角レンズで広がりを出し、高い所に咲く野生のフジは望遠レンズで切り取ることが多くなります。垂れ下がって咲くフジらしさを生かすにはアングルの選択も重要です。望遠で切り取るなら横から撮るとその形状を生かしやすく、広角なら下から見上げてシャンデリアのように垂れ下がる雰囲気を狙ってもよいでしょう。
基本テクニック
見上げて撮影することの多いフジはプラスの露出補正が必須
ツル植物であり、日光を好むフジは見上げて撮影することが多い。青空バックでも、曇り空が背景でも、花が露出アンダーにならないようプラス補正を必要とする。プラス0.7~2補正という比較的大きな補正が必要だ。
±0
↓
+2
プラス2補正で爽やかな色合いとなった
青空を背景にして木立高くに咲くフジを撮影した。補正なしだと明らかに露出アンダーであり、プラス2補正でフジを爽やかな色合いで捉えられた。さらに青空の深みを出すためにPLフィルターを活用した。
応用テクニック
垂れ下がる花の形状を生かすため画面下に空間を設ける
フジの花をアップで見せるなら、花房の下方に余裕を持たせたフレーミングにしたい。花先に間が生まれることで花房の垂れ下がる様子が伝わってくる。風が吹くと花が揺れてぶれやすいので、花を止めて写せるシャッター速度を確保することも大切だ。
△
↓
画面いっぱいにフジを捉えると垂れ下がる独特の形状は生かせない
フジを画面いっぱいに切り取るとボリュームは出るが、垂れ下がって咲く独特の形状は生かせない(△写真)。下方に空間を取ると花先に余裕が生まれ、フジらしい形状を生かせた。このシーンでは水の流れを脇役として生かすことで、フジが咲く環境も描写できた。
50ミリ相当 絞り優先オート(F8 1/50秒) +0.7補正 ISO400 WB:晴天 PLフィルター
写真・解説/深澤 武