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光の当て方で「シズル感」が大きく変わる!?【料理&スイーツ写真の一眼テクニック③】

シズル感という言葉を聞いたことがあるだろうか。肉をジュージューと焼く音を「シズル(sizzle)」ということから、写真では料理が美味しそうに見える照りなどの質感があることを指す。このシズル感は主に光によって表現することができる。4回にわけて一眼カメラを使ってより見栄えよく写すプロの技を紹介する本企画、第3回は「光の当て方」について解説する。

 

料理&スイーツ写真の一眼テクニック
① まずは一眼カメラとスマホの違いを知るべし! https://getnavi.jp/capa/special/295026/
② ディナーの雰囲気を生かして撮影するには? https://getnavi.jp/capa/special/295031/
④ レフ版やマクロレンズを使って一味違った料理写真に! https://getnavi.jp/capa/special/295046/

 

光の当て方を工夫して立体感&シズル感を引き出す

まずはテーブル上のロウソクを利用して、光の当たり方によるロールキャベツのシズル感の違いを見ていこう。

 

<順光>

 

<サイド光>

 

<半逆光>

 

<逆光>

光の当たる角度によって立体感とシズル感は変わってくる。光が料理の正面から当たる順光では、手前側が明るく写る。ソースの色がきれいに出ているが、全体的に明るいため、ロールキャベツが平面的に見える。正面から光が当たるほうが照りは出やすいかと思いきや、光による凹凸が出にくいので、白く反射した照りは少ない。

 

逆光では正面の照りはあるものの、手前全体がやや暗い。半逆光とサイド光は照りもありつつ、左側の明るい部分と右側の暗い部分との差があり、立体感が出ている。半逆光に比べてサイド光のほうが明るい面積が多いので、ここでのベストはサイド光だろう。

 

このように光の当て方、当たり方によって料理の印象はここまで変わる。光源の位置や料理の向き、撮るポジションを変えたりして工夫してみよう。光が強くて手前の影がきつく感じる場合は、レフ板を使うといい。また、温かい料理は冷めるとパサパサになってしまうので、出来上がった料理を素早く撮るのもシズル感を出すポイントだ。湯気や水滴などもシズル感の演出に一役買ってくれる。

<作例>


ディナータイムの雰囲気を出すために、ロウソクの弱い光を当てている。左側からの光によって照りがうまれ、ほんのりと立体感も出ている。またホワイトバランスを調整し、赤みがかすかに残るようにして、ロウソクの雰囲気を感じさせた。感度はISO4000とかなりの高感度になったが、拡大してもシャープ感があり、立体感も出ているのは高画質な一眼ならではのおかげだ。

90ミリ相当 絞り優先オート(F1.8 1/125秒) ISO4000 WB:3600K

 

写真・解説/吉住志穂