だんだんと暖かくなってきて、撮影にも出かけやすい季節になってきた。ということで、本稿では4月下旬から5月いっぱいにかけて楽しめる日本全国の春の絶景を風景写真家に紹介してもらう。今回の推薦人は中西敏貴さん。
おすすめの撮影スポット⑤美瑛の丘(北海道・美瑛町)
朝や夕、雲間からのスポットライト丘を渡る光に注目しよう
農作業が始まる春は1週間で丘の模様が変わる
雪解けの時期が終わると、美瑛の丘では農作業が一斉に始まる。これまで半年も雪の中だったわけで、農家は大忙しだ。朝早くから夜遅くまでトラクターが畑を耕し、1週間もすれば丘の模様が激変する。
耕されたばかりの土はまだ黒く、そして乾いたところから白くなっていく。前年の秋に植えつけれた〝秋まき小麦〞の緑が組み合わさると、まさに「春耕」の風景が広がる。撮影していると土の香りに包まれ、鳥たちがさえずり、そして遠くからはトラクターの音が聞こえてくる。なんてのどかで心が温かくなる風景なのだろうと、毎年のことながら感心して見ている。
春は光も強くなる時期だ。雲の隙間からスポットライトが差すことも多く、起こされた畑に一瞬の光が届く瞬間を狙ってみるのもいいだろう。
悪天候のときほどフォトジェニックな光景に出会える
天候の悪い日ほど劇的な光に出会えることが多い。雨上がりや風の強い日などは特に面白く、高台から丘を見ていると光が丘を渡っていくのが見えて、時間を忘れてしまう。明部と暗部を意識して、そのバランスで印象を強める作画を心掛けた。
キヤノンEOS 1DマークⅡ EF70~300ミリF4‐5.6L IS USM 絞り優先オート F8 1/160秒 マイナス1補正 ISO100 WB:太陽光
光を反射するマルチシートが良い被写体になる
春の作付けが終わると、丘にはさまざまな畝のラインが登場する。なかでもデントコーン畑に敷かれるマルチシートのラインは特徴的だ。マルチシートはビニールなので、快晴では青空を反射して青くなり、朝夕には赤く染まり、とても良い被写体になってくれる。(5月下旬、朝に撮影)
キヤノンEOS 5DマークⅣ EF24~105ミリF4L IS Ⅱ USM 絞り優先オート F11 1/125秒 +0.7補正 ISO100 WB:太陽光
【撮影情報】
時期 | 5月中旬 |
時間帯 | 午後 |
天候/光 | 曇り |
焦点距離 | 236ミリ相当 |
使用アイテム | PLフィルター |