機材レポート

“クアッドカメラ”に“RYYBセンサー”――「ライカレンズ」でおなじみファーウェイの最新作がすごいことに!

2019年5月、ファーウェイの最新スマホ「P30」シリーズが発表された。このP30シリーズは、スタンダードモデルの「P30」、エントリーモデルの「P30 lite」、ハイエンドモデルの「P30 Pro」の3モデルから構成され、いずれもカメラ機能に力が入った製品となっている。P30とP30 Proには「ライカレンズ」が搭載されており、カメラファンも要注目のモデルだ。

▲P30 Pro(左)とP30。いずれもライカレンズ搭載だが、P30はカメラが3基(ToFカメラ不採用)となる。ちなみにP30 liteもカメラは3基だが、ライカレンズではなく、画素数も最高約2400万画素となる。

 

なかでもP30 Proはカメラを4基(ほかの2機種は3基)搭載し、高倍率なズーム機能や高精度なAF、美しい背景ボケが得られるようになっている。ここでは主に、現時点で最先端のスマホカメラの1つといえる、P30 Proのカメラ機能について紹介する。

 

「Leicaクアッドカメラ」と「RYYBセンサー」がもたらす最高峰の画質

ファーウェイの最新スマホP30 Proは、約4000万画素で27mm相当F1.6の広角カメラと、約2000万画素で16mm相当F2.2の超広角カメラ、約800万画素で125mm相当F3.4の望遠カメラを装備。これに空間計測用のToFカメラを加えて「Leicaクアッドカメラ」としている。

▲P30 Proのカメラレンズ部。写真の左から順に125mm、27mm、16mmと並び、フラッシュ発光部付近にToFカメラを備える

 

ズーム使用時は、この3つの単焦点カメラをデジタルズームで繋ぐことで広角から望遠までをカバーし、光学で約5倍、ハイブリッドで約10倍、デジタルズームを最大に利かすと約50倍の超望遠撮影も可能という。そのため、最高画素数は4000万画素だが、最高画素数に設定した場合はズームが使用できず、基本設定は1000万画素相当となっている。

 

4000万画素というと、画素数が高すぎて画質面が不安という人もいると思うが、本機は1/1.7型CMOSという並みのコンパクトカメラよりも大型のセンサーを採用。しかもメインの27mmカメラは、従来のRGGB配列のセンサーではなくRYYB配列とすることで、従来より40%も多く光を取り込むことに成功しているという。


▲27mm相当のカメラには、写真右側のRYYB配列のセンサーを採用。通常のRGGBセンサー(写真左側)よりも実質40%も光を多く取り込め、最高ISO感度はなんと409600だ。

 

さらに、27mmカメラと125mmカメラには光学式手ブレ補正が導入され、手持ちでもブレなく撮ることが可能。Aiによるシーン判別機能も搭載され、フルオートでも撮影シーンに最適な設定で簡単に撮影することができる。


▲125mm相当のカメラのレンズには、屈曲光学系を採用。これにより、本体の厚みを犠牲にすることなく、望遠レンズを搭載できたという。光学式手ブレ補正も装備する。

 

違和感の少ないボケ描写やユニークな「月」モードで写真表現が広がる

さて、プレス向け発表会では、このP30 Proを実際に操作することができた。実感としてズームはかなりスムーズで、レンズが切り替わる場合も、ほぼズレを感じることなく操作できた。ちなみに、デジタルズーム使用で約50倍まで倍率を上げることはできるものの、その場合はさすがに画像は荒れ気味。とはいえ、被写体に書かれた文字などは十分視認できたので、写真という意味では厳しくても、遠くを確認するための望遠鏡的な使い方は十分できそうだ。

 

また、125mm相当約800万画素のカメラ搭載なので、中望遠域までは十分に高画質な写真が撮れるはずだ。本機ではこの125mm相当レンズやToFカメラを用いることで、合成技術を用いた背景のボケ表現を楽しむことができるが、高精度なToFカメラのおかげで背景を大きくぼかしても違和感の少ない画像に仕上げることができるのも魅力。手動で好みの背景ボケに調整できる「アパーチャ」モードも用意されているので、人物撮影などに限らず、カメラの絞りを調節するような感覚でボケ描写を楽しめる。


▲P30 Proでは、ボケ調節が可能な「アパーチャ」のほか、「夜景」「ポートレート」「写真」「ビデオ」「プロ」「その他」の撮影モードが選べる。「プロ」ではISO感度やシャッター速度も設定可能。ビデオは4K撮影対応だ。

 

また、本機の特徴的な機能の1つに「月」モードがある。これは、Ai設定でカメラを月に向けてズームすると、およそ20倍あたりから自動で切り替わり、手持ちでクリアな月の画像が撮れるという。画像解析技術や画像合成技術を用いている可能性もあるとは思うが、単純に50倍ズームを使用したときよりもかなりクリアに撮れていて、細かいクレーターなども描写されており非常に驚いた。


▲発表会では、写真家・萩庭桂太氏撮影の作例が展示。右側に「月」モードの作例もあるが、この作例よりもさらに大きく写すことも可能だ。

 

このように非常に魅力的なカメラを搭載したファーウェイ P30 Proは、発表時点で日本国内ではNTTドコモでの取り扱いがアナウンスされており、実質的に10万円を切る戦略的な価格設定がなされていた。しかし、グーグルからのビジネス供給停止などファーウェイを巡るさまざまな動きから、残念ながら執筆時点では事前予約が停止されてしまっている(※)。

 

今後、他社から同クラスのカメラを搭載したスマホが登場する可能性はあるものの、ライカレンズが搭載される可能性は極めて低い。その替えがたい魅力を考えると、何とか本モデルの国内発売にこぎつけてもらいたいところだ。

※編集部注:6月5日記事公開時点。P30、P30 liteについてはAmazonにて販売が開始されました


▲発表会では、P30シリーズのほか、写真右側のスマートウォッチ「WATCH GT」42mmシリーズを発表。さらにワイヤレスイヤホン「FreeLace」も発表された。

 

P30 Proの主な仕様

SoC(チップセット)はKirin 980 オクタコアCPU、OSはアンドロイド9を採用で通信はNTTドコモの「PREMIUM 4G」に対応。ディスプレイは6.47インチの有機EL(約2340×1080ピクセル)、インカメラも約3200万画素と高解像仕様。質量は約192gで大きさは約158×73×8.6mm。