機材レポート

最初期の広角ソフトフォーカスレンズは、ぜいたく設計で描写も美しい「Kenko MC SOFT 35mm F4」

中村文夫の古レンズ温故知新「Kenko MC SOFT 35mm F4」

ケンコーのソフトフォーカスレンズの歴史は意外と古く、1987年発売の「MC SOFT 85mm F2.5」が最初の製品だ。そして1995年に「MC SOFT 45mm F4.5」、翌年には「MC SOFT 35mm F4」が登場。広角、標準、中望遠というラインアップが完成する。

 

Kenko MC SOFT 35mm F4

外観デザインはニコンFマウントレンズそっくりで高級感のある仕上げ。発売時の定価は38,000円と意外に高価だった。

 

おそらく初の広角ソフトフォーカスレンズ

もともとソフトフォーカスレンズはポートレート撮影に使われることが多く、古くから中望遠レンズが主流だったが、広角の領域まで手を広げたのは、おそらくケンコーが初めて。ちなみに他社製品では「smc PENTAX FA 28mm F2.8 SOFT」が有名だが、こちらの発売は1997年でケンコーより1年遅い。

当時のカタログには「風景やスナップ撮影に最適」とあり、それまで標準〜中望遠に限られていたソフトフォーカス表現の世界に新たな領域を切り拓くという、ケンコーの意気込みが強く感じられる製品である。

 

贅沢な光学設計で美しい描写を実現

45mmは1群2枚、85mmは3群3枚と、いずれもシンプルなレンズ構成だが、この35mmは5群5枚という贅沢な設計。ほかの2本に比べ画面周辺部の像の流れが少なく画面全体に均一なソフト効果が得られる。

さらに絞り羽根も10枚と多くボケ味も自然。マルチコートの効果でゴーストの発生も少なく、3本のなかでは最も落ち着いた表現ができるレンズと言えるだろう。

 

 
Kenko MC SOFT 35mm F4

球面収差によってソフト効果を得る方式で、絞り開放でが効果が最大になり、絞るにしたがってシャープになる。絞りは手動式で目盛りは不等間隔式だ。

 
Kenko MC SOFT 35mm F4

マウントは交換式。アダプターはTマウントに似ているが、取付部のネジ山がM42とケンコー独自の規格になっている。

 

 
Kenko MC SOFT 35mm F4作例(撮影:中村文夫)

像の芯は、それほどシャープではなく、画面全体にソフト効果が現れるといった感じ。そういう意味ではライカのタンバールに描写が近い。

PENTAX K-1 Mark II F5.6 1/100秒 ISO100

 

 
〈文・写真〉中村文夫