Appleは日本時間の9月11日未明に開催された発表会にて、iPhone XRの後継機となる「iPhone 11」を発表した。9月13日(金)より予約受付が始まり、9月20日(金)店頭販売開始としている。発表された内容を見る限り、iPhone 11は低価格(Appleストアでの価格は税別で74,800円~)ながら、Appleならではの高性能なスマートフォンに仕上がっている。本稿では、写真家の目線から特にカメラ機能について見ていきたい。
背面カメラは2眼になり、インカメラは画素数アップ&4K記録に対応
iPhone 11は、iPhone XRと本体サイズや画面サイズが同等でありながら、カメラ性能は正常進化している。まず、インカメラの静止画の画素数が7MPから12MPになり(動画も1080p/60fpsから4K/60fpsへ進化)、セルフィーなどをSNSにアップするのにはもちろんのこと、L版や2L版程度の写真立てに入れるサイズのプリントならば必要十分な画素数となっている。
背面カメラのレンズはデュアル(2眼)になり、広角(従来通り35mm換算26mm相当)と超広角(35mm換算13mm相当)を装備。超広角レンズが搭載されたことにより、従来よりも広い範囲の映像を撮影することが可能となる。これにより、旅行などに行った際に、今まで難しかった広い風景全体を収めることや、大きな建物の全体を収めることもできるようになるだろう。
前機種にも搭載されていたポートレートモードも、この2つのレンズの映像を組み合わせながら撮影する仕様になる。「進化したボケ効果と深度コントロール」によって、今まで以上に、まるで一眼レフで撮影したかのように背景をボカした写真を撮ることができるようだ。これらの進化により、撮影できる範囲とテイストがさらに広がったことになる。
また、最新の機能として「ナイトモード」がある。これは、暗所でも低ノイズ・自然な発色で写真が撮影できるという機能だ。それに加え、「より明るいTrue Toneフラッシュとスローシンクロ」を使用すれば、従来のスマホが苦手としてきた光量の乏しい状況での写真撮影にも対応できそうだ。
同時発表された上位機種iPhone 11 Pro/iPhone 11 Pro MAX には、超広角レンズに加え、望遠レンズ(35mm換算52mm相当)が搭載されているが、カメラまわりに関していえばそれ以外の機能はそれほど変わりがなく、比較的価格が抑えられたiPhone 11は非常にコストパフォーマンスが高いといえる。
iPhoneでのスナップショットがさらに便利に
直接的なカメラ部の進化以外にも、撮影するにあたってうれしいポイントがいくつかあった。
1つは、チップがA13Bionicになったことにより、消費電力の効率化が進められ、XRと比較しても1時間程、バッテリー保持時間が伸びたとのこと。そして耐水性能も、XRの水深1mで最大30分間から、水深2mで最大30分間に向上している。濡れた手で、さっと撮影がしたいときなどにとても便利だし、ちょっとした水のアクティビティの際にも、気兼ねなく写真が撮れるのはありがたい。
近年のスマートフォンの進化は、目を見張るものがある。いまでも“本当に良い写真”を撮影するには“本物のカメラ”が理想ではあるが、“いい記録”や“思い出”を撮ったりするには、常に身近にあるスマートフォンが便利だったりする。
今回のiPhone 11のカメラ機能の進化は、これまでよりさらにスマートフォンでのスナップショットを便利にしてくれるだろう。今やiPhoneで写真撮影をする機会も非常に増えたので、個人的にも嬉しい進化である。
また、こうした光学式手ブレ補正や2倍の光学ズームアウト、最大5倍のデジタルズームなど、カメラとしての基本性能の向上に加え、純粋なカメラにはない性能、例えば、擬似的に写真に照明効果を加えられる機能やエフェクトを備えたポートレートライティング(自然光、スタジオ照明、輪郭強調照明、ステージ照明、ステージ照明(モノ)、ハイキー照明(モノ))などは、スマートフォンならではの面白さではないだろうか。