紀成道 (きの せいどう) さんが写真集『MOTHER』を上梓した。
日本の高度経済成長を支えた一つが鉄鋼業だ。高度な技術を持つ大企業がある一方で、産業を下支えする町工場は継承者がなく、外国人労働者に頼る。金型職人だった父に憧れ、紀さんは大学の工学部で学んだ。二つの製造現場の今を記録しながら、来し方行く末を見つめる。
写真集の中央には街の現在を収めた写真を挟み込んだ。その一部分は写真が重ねられ、めくると過去の風景が現れる。その多くが様変わりしたが、変わらずに受け継がれているものもあるようだ。
■紀 成道『MOTHER』
200×300mm・128ページ
本体 4,000円(税別)
2019年9月8日発売
赤々舎
〈文〉市井康延