山岸伸さんの写真集『輓馬 BANEI KEIBA』が発売された。
そりを引いた農耕馬が200mの直線コースで速さを競う。ばんえい競馬は開拓時代の農村の娯楽として始まった。そりは鋼鉄製で本体だけでも450kg。苦難をともにした愛馬への愛情と誇りが競う根底にあるのだろう。山岸さんは14年間、北海道へ通い、1年を通して彼らを追った。レンズは馬を中心にフォーカスしているが、その後ろには常に人の存在がある。無垢な魂の崇高さに打たれる。
■山岸 伸『輓馬 BANEI KEIBA』
A4横長判・96ページ
本体 2,800円(税別)
2019年8月20日発売
朝日新聞出版
〈文〉市井康延