日本カメラ博物館が所蔵する古写真を厳選して収録した“古写真集”の第2弾『秘蔵古写真 江戸』が発売された。
本書は幕末から明治にかけて、江戸から東京に変わるころに撮られた写真約550点を集めたものだ。撮影に露光時間を要した時代なので被写体は建物が多いが、時折、通行人も写る。東京・日本橋通りに鉄道馬車が走り、新橋には商家が並ぶ。落語でしか聞いたことのない新吉原の大門や引手茶屋もこの本で初めて目にした。上野、浅草、本所、深川など、本書を開き百数十年前の東京散歩に出かけると、時の経つのを忘れてしまう。
日本カメラ博物館 監修『秘蔵古写真 江戸』
220×152mm・256ページ
本体 1,800円(税別)
2019年8月30日発売
山川出版社
〈文〉市井康延