ニュース

シグマユーザー限定の「fpフェス 2020春」潜入レポート! フルサイズFoveonセンサー搭載カメラについてのお知らせも

シグマは、シグマカメラのユーザー向けイベント「fpフェス 2020春」を2020年2月8日(土)に都内で開催。昨年10月に開催された「SIGMA fp 体感イベント 2019 Autumn」と同会場で、この日は約200人のシグマユーザーが集まった。プログラムは一部と二部に別れており、映画上映も含めて4時間びっしりのスケジュールだ。

 

今回のイベント参加申込みにはカメラのシリアル番号の入力が必要だったため、来場者はシグマユーザーだけというクローズなイベント。受付で受け取ったシグマのロゴ入りバックには、ロゴ入りのクリーニングキット、ボールペン、シグマfpの小冊子とプログラム、そしてCP+の招待券が入っていた。

 

フルサイズFoveonセンサー搭載カメラの開発状況を報告

開催の挨拶に登壇したシグマの山木和人社長。冒頭から「この場をお借りしてご報告しなければならないことが2つございます」と切り出し、イベントがスタートした。

▲開発中の Foveonセンサーを手にしながら説明する山木社長

 

1つは、シグマが取り組んでいるフルサイズFoveonセンサー搭載のカメラの開発状況に関する報告で、2020年度中の発売ができなくなったこと。もう1つは、センサー開発と同時に進めてきたカメラの開発プロジェクトをいったん仕切り直すというものだった。この日、同じタイミングでニュースリリースが配信された。

 

フルサイズFoveonセンサーの開発が遅れている原因としては、製造工場をこれまでと変えたことなどにより納得できる性能が出ていないからだという。最短で2021年夏にはフルサイズFoveonセンサーを搭載したカメラが完成する見込みではあるものの、場合によっては2022年になる可能性もあるそうだ。会場は大きな動揺もなく、山木社長の説明に耳を傾けていた。

 

その後、来場者の質問に答えるということで記者会見のような雰囲気となったが、フルサイズの Foveonセンサー搭載カメラの開発を中断するわけではないこと、開発は遅れているものの、すでに発表されているセンサーのスペック(各20Mの3層構造、1:1:1で計60M)には変更がないことなどが説明された。また、 Foveonセンサー搭載のカメラは、単にfpのセンサーを置き換えるのではなく、全く別物であることも明らかになった。

 

fpの開発秘話や今後のアップデート情報が明らかに

次に登壇したのは、 SIGMA fpの開発プロジェクトでリーダーを務めた、商品企画部商品企画課の畳家久志氏。ペンタックスやサムスンを経てシグマに入り、fp開発に携わることになった経緯を含めて、開発にまつわる様々な思いを熱く語った。

▲商品企画部商品企画課の畳家久志氏

 

最初に披露されたのは、新カメラの開発に当たって、そのコンセプトが記された山木社長からのメモ。伏せられている部分があるものの、そこには「世界最小最軽量」「ミラーレスカメラ」「ボタン・ダイヤル類はシャッターボタンのみ」といった、fp開発のポイントとなる要素が記されていて、当初のコンセプトがブレていないのがわかる。

fpの開発では、動画撮影の性能にも重点が置かれていて、静止画撮影の性能と50:50の配分にすることを目標にしていたのだと畳家氏。外観デザインの特徴であるヒートシンクの配置は、動画用RAW撮影モードでも充分な性能をもたせるために、現在のような構造になったことを明かしてくれた。またfpをベイヤータイプのセンサーの特性を活かすカメラにしていくことが、シグマのカメラづくりに幅を持たせることにも繋がるのだと語った。

 

拡張性の高さに関しては、純正パーツだけで構成することを考えるのではなく、fpの形状データを公開するなどしてサードパーティの参入も受け入れ、撮影を楽しめるシステムとして考えていることも紹介された。

 

最後に、ファームウェアのバージョンアップのスケジュールと内容が明らかにされた。CP+ 2020の後にはリリースされる予定の Ver 1.02では、遅いカードに対するトラブル対応など、現行の不具合対応の改善が行われる。また、2020年初夏を目標にしているメジャーバージョンアップのVer2.00では、発売当初に「後日ファームアップで実装予定」と発表されていた CinemaDNG再生機能、動画HDR撮影機能、ディレクターズビューファインダーでの動画記録や再生機能などが含まれている。

 

休憩の後に登壇したのは、アプリなどのUX/UIデザインを手がけているデザイナーで、 fpの愛用者でもある安藤剛氏。「fpはカメラの体験をどう変えるか?」をテーマに、自身のカメラ遍歴やカメラとの関わりだけでなく、シグマの製品やサイトにも使われている文字の書体(シグマフォント)にも触れ、デザイナーの視点で fpの魅力を語ってくれた。

 

安藤氏はfpのデザインの魅力を「佇まい」、「一貫性」、「透明感」の3つのポイントで語った。そのほか、いつでも持っていける携帯性とアウトプットのクオリティの高さがあり、アスペクト比21:9や「Teal and Orange」による画づくりなど、映画的な要素でも楽しめるのが大きな魅力なのだという。安藤氏の作品は、シグマのサイトにアップされている。

 

第二部は、全編fpで撮影された短編映画「しんしん」の特別上映。プロデューサーの勝俣円氏も登壇した。映画は京都グラフィー( 2020年4月17日~5月17日)のサテライトイベントKG+の会場でも上映されるほか、シグマのイベント等で上映予定。当面はホームページへのアップはされないとのことなので、ぜひ会場に足を運んでスクリーンで見てほしい。

 

fpにシネレンズを装着した撮影システムの展示も

ここからは、会場の展示などについて紹介していこう。

 

会場に入ってすぐの場所に設けられていたのは銀一のアクセサリーコーナー。fpに対応する動画用のアクセサリーやバッグ、各種アクセサリーに、来場者は興味深げだった。

 

普段あまり目にする機会のない、fpにシネレンズを装着した撮影システムも展示。拡張性のあるfpだけに様々なアクセサリーを装着できるが、本体が小さいので、レンズやバッテリーの存在感が大きすぎてカメラがどこにあるのかわからなくなる。

 

オリジナルグッズの販売コーナーでは、ロゴ入りTシャツをはじめステッカーやワッペン、キャップなどを販売。Tシャツはグレーとブラックの2種類。サコッシュバッグも注目を集めていた。

 

機材体験コーナーにはfpをはじめ、レンズ、dp Quattro、sd Quattroもラインナップされていて、気になっているレンズやカメラを実際に手にして試すことができるようになっていた。

 

fpを中心に、シグマの魅力を存分に体感できるイベントだった。フルサイズFoveonセンサー搭載のカメラの開発が遅れるのは残念なアナウンスだったが、時間をかけたぶんだけ、ユーザーの期待を超えるモノが登場しそうな予感もある。シグマのものづくりを理解している来場者にとってもその思いは同じだろう。