ソニーとソニーモバイルコミュニケーションズは、スマートフォンXperia のフラッグシップモデル「Xperia 1 II(エクスペリア ワン マークツー)」を2月24日に発表した。ソニーの技術を結集した5G 対応モデルで、 ZEISSレンズを採用したトリプルレンズカメラと3D iToFセンサーを搭載。さらにデジタル一眼カメラのαシステムで培った技術を活用して、AF/AE追従最高20コマ/秒の高速連写を世界で初めて実現する。ボディカラーはブラック、ホワイト、パープル。国内での発売は2020年春以降となっている。
Xperia 1 IIが実現した本格的なカメラ性能
αシステムで培った技術による高速連写&リアルタイム瞳AFに対応
Xperia 1 IIはレンズ交換式デジタル一眼カメラαで培った技術により、60回/秒のAF/AE演算を行うコンティニュアスAFに対応し、世界初となるAF/AE追従最高20コマ/秒の高速連写を実現。これまでスマホカメラが苦手としてきた動きの速い被写体も高い精度で捉えることができる。高速連写だけにデータ量が気になるが、5G(第5世代移動通信システム)の高速通信により、撮影した大容量データも高速に送信することが可能となっている。
さらに、従来モデル「Xperia 1」でスマートフォンとしては世界で初めて対応した瞳AFも進化。「α9」や「α7 III」などに搭載されている「リアルタイム瞳AF」に対応し、AIによる瞳検出を行うことで人物だけでなく動物の瞳にも素早くフォーカスを合わせて追従させることができる。
こうした高速連写やリアルタイム瞳AFは、マニュアル操作で本格的な撮影を可能にする新機能「Photography Pro(フォトグラフィー プロ)」にて使用可能。そのほかPhotography Proでは、マニュアル露出やシャッタースピード優先といった撮影モードダイヤル、シャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランスなどを自在に変更しながら撮影できる。
質感まで忠実に再現するZEISSレンズを採用したトリプルレンズカメラ
メインカメラにはT*(ティースター)コーティングを施したZEISS(ツァイス) レンズを採用。 これにより、画質低下の原因となるフレアやゴーストが最小限に抑えられ、クリアな描写を実現している。
ソニーとZEISSは、ソニーが 8ミリビデオカメラハンディカム「CCD-TR555」(1996年)にZEISSレンズを採用して以来、 戦略的な協業関係を展開してきた。サイバーショットRX シリーズをはじめ、デジタル一眼カメラ のα用レンズ、デジタル 4K ビデオカメラレコーダーハンディカムなどにもZEISS レンズが採用されている。今回のXperia 1 IIの発表にあわせ、両社の協業関係をスマートフォンにも拡充することが宣言されている。
レンズは下から順に、有効画素数約 1220万画素のイメージセンサーを採用した焦点距離24mmの標準レンズ(F1.7)、70mmの望遠レンズ(F2.4)、16mmの超広角レンズ(F2.2)(いずれも35mm判換算)。Xperia 1では標準レンズが26mm F1.6、望遠レンズが52mm F2.4、超広角レンズが16mm F2.4だったので、構成が変化しているのがわかる。
また、Xperia 1にはなかった要素として、暗いシーンでも物体を立体的に検知する3D iToFセンサーが新たに搭載されている。この3D iToFセンサーと、標準レンズと超広角レンズのセンサーに搭載されたデュアルフォトダイオードにより、暗所でも高速・高精度なオートフォーカスが可能となっている。
大判センサー採用などにより暗所での高感度性能が向上
より大きなピクセルピッチ(1.8µm)を採用した1/1.7インチの大判イメージセンサーにより、標準レンズ使用時に従来比約 1.5 倍の高感度撮影を実現。また、画像処理エンジンBIONZ X for mobileによる画像圧縮前のノイズ低減処理などにより、暗所でも明るくノイズの少ない高精細な写真を撮影することができる。動画撮影時には、光学式(OIS)と電子式(EIS)の手ブレ補正を組み合わせたハイブリッド手ブレ補正も搭載されている。
本格的なシネマ撮影体験を可能にする「Cinematography Pro」
「Cinematography Pro(シネマトグラフィー プロ)」は、映像クリエイターの声を反映した新機能。21:9のアスペクト比で、映画のような質感や色表現を楽しめる機能となっている。120コマ/秒のハイフレームレート撮影が可能なほか、60コマ/秒、25コマ/秒の4K 10bit HDR撮影を実現する。また水準器やタッチAF、ホワイトバランスのカスタム設定、適正露出を表示して設定できるメータードマニュアル、風雑音のみを除去する「インテリジェントウィンドフィルター」などの機能も追加されている。
有機 EL ディスプレイと残像低減技術でクリアな映像を実現
21:9 シネマワイドディスプレイによる没入感のある視聴体験
Xperia 1 IIは、映画とほぼ同じアスペクト比の21:9、約6.5インチの4K HDR 対応有機ELディスプレイを搭載し、映画やミュージックビデオなどで採用される21:9の映像をフル画面で楽しむことができる。さらに「Dolby Atmos(ドルビーアトモス)」に対応した立体音響技術は、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントと協業した独自のチューニングによるもの。音の定位感や立体感の再現性を強化しており、21:9シネマワイドディスプレイと組み合わせることで、より没入感ある映像視聴を楽しめる。
広色域や高い階調表現、残像低減技術などによる美しい映像表現
Xperia 1 IIに搭載されている「クリエイターモード」は、映像制作の基準器でもあるソニーのマスターモニターを手掛ける部門が監修した色設定となっている。放送規格( ITU-RBT.2020)の色域や、10bit信号に対応した独自開発の画像処理により、映像制作者の意図した表現を再現する。また、ブラビアで培った高画質化技術X1 for mobileにより、SDR映像コンテンツをHDR相当の画質で美しく表示する「HDRリマスター」を搭載。インターネット上の映像も高精細に視聴可能だ。
さらに、90Hzディスプレイ相当の残像低減を実現する残像低減技術の新搭載により、クリアな映像を実現。標準光源/色温度からホワイトバランスを選択できる設定を新たに追加し、印刷した写真の色味を忠実に再現するなど、ディスプレイの色味を用途に応じて変更することが可能となっている。
その他のトピック
ソニー・ミュージックとの協業による独自のオーディオチューニング
ソニー・ミュージックエンタテインメントとの協業により、Xperia 1 IIはクリエイターの制作意図を忠実に再現するソニー独自のオーディオチューニングを実装する。ヘッドホンやステレオスピーカーで迫力のステレオサウンドを実現するだけでなく、AI技術で高音域の表現力や微細な音の再現性が向上したDSEE Ultimateに対応。ストリーミングサービスやワイヤレスヘッドホンにも対応し、あらゆる圧縮音源をハイレゾリューション・オーディオ(ハイレゾ)相当の高音質にアップスケーリングした再生が可能だ。
最新 CPU と大容量バッテリー搭載
Xperia 1 IIは、Qualcomm社製の最新プラットフォームの搭載により、CPUとGPUのパフォーマンスがそれぞれ約25%高速化。さらに、8GB(RAM)/128GB・256GB(ROM)の内蔵メモリーにより、動作速度や処理能力も向上している。バッテリーは、大容量の4000mAhバッテリーを搭載し、ワイヤレス給電規格Qi(チー)にも対応した。最短30 分で約50%の急速充電が可能なほか、Xperia独自の充電最適化技術と「いたわり充電」により充電時のバッテリーへの負荷を軽減し、バッテリーの長寿命化を実現する。電池消費を抑えて電池持ちをよくする「STAMINAモード」も備える。