ストロボメーカーのコメットが独自に開発した「クリアパルス」という技術が、“新しい光による殺病原体技術”として、さまざまな分野から注目を集めているのをご存知だろうか。新型コロナウイルスによる、医療現場でのエアロゾル感染や接触感染などが問題となっていることから、「クリアパルス」の性能に関する問い合せや注文が増えているのだという。
「クリアパルス」システムは、1秒間に56回の間欠的な発光を行うフラッシュを使って強力な紫外線を発生させるもので、厳密なクリーン化が求められる医学分野や食品、食品容器などの殺菌技術として、すでに多くの工場で使用され、その効果が実証されている。A型インフルエンザウイルスの不活化効果の試験 (対象物までの距離5cm) では、4回の発光で感染価減少率92.8%、16回の発光では99.9999%以上の殺ウイルス効果が1秒以内の短時間照射で確認できている。新型コロナウイルスに対する殺ウイルス効果が実証されたわけではないが、原理的には同等の効果が期待できるとしている。
光を使ってウイルスや細菌、カビなどを殺菌するものとして、UVランプや殺菌灯が知られている。ところが、UVランプなどの殺菌力は微弱なため、十分な殺菌をするには長時間の照射が必要で、長時間照射によって食品が変質したり、プラスチック製品が紫外線劣化を起こすといったデメリットがあった。「クリアパルス」は、フラッシュによる瞬間光で殺菌することため、こうした弊害をクリアすることができるのだそうだ。
コメットでは、室内設置型のエアロゾル感染対策用の機種「ASM-100」、ハンディ型で接触感染対策用の機種「HD-200」「FB-200」「BHX-200」などを産業機器として販売している。室内設置型の「ASM-100」は医療施設だけでなく、3密条件になりやすい飲食店、トレーニングジム、ホテル客室などでの利用効果も期待される。ストロボの開発から生み出されたこうした技術が、アフターコロナの感染防止対策の一つとして活躍することを、カメラユーザーとしても期待したい。
〈文〉柴田 誠