シグマは、フルサイズミラーレス用の大口径単焦点レンズ「SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art」を2020年8月27日に発売する。マウントは、Lマウント用とソニーEマウント用の2種類。希望小売価格は120,000円 (税別)。ケース、ロック付フードLH828-02が付属する。
「SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art」は、2020年8月6日に行われたオンライン発表イベント「SIGMA STAGE Online」でお披露目された新製品。山木和人社長がライブ配信でプレゼンテーションを行って、開発の背景やArtラインならではのこだわりについて詳しく解説した。
■ミラーレス専用設計の「究極のポートレート用レンズ」
「SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art」は、光学性能を極限まで追求したArtラインの中望遠レンズ。最新の光学設計技術とシグマの生産技術が惜しみなく投入され、ポートレート撮影に必要とされる繊細な描写を高い次元で実現している。名前には、フルサイズのイメージセンサーに対応した高性能レンズを示すDG、ミラーレスカメラ専用に開発した交換レンズのシリーズを示すDNが配されている。
■日常的に使える小型軽量化を実現
ミラーレスカメラ専用に設計することで、これまで困難であった“大口径で高い光学性能”と“軽量コンパクトなボディ”の両立を実現した。質量630g・長さ94.1mm (Lマウント)、フィルター径77mmと、スナップなどの撮影にも日常的に持ち出せる大口径レンズとなっている。
■コンパクトでも妥協のない光学性能
周辺光量とディストーションの補正にはカメラの補正機能を活用し、カメラボディではカバーできない各収差を光学的に徹底的に補正している。特に軸上色収差を重点的に補正することで、開放F値1.4から色にじみのないキレのある画像となっている。さらに、光線シミュレーションと実写検証を繰り返して、徹底的なゴースト対策を行い、逆光環境でもクリアでシャープな画像を実現した。
レンズ構成は、5枚のSLDガラスと1枚の非球面レンズに加え、最新の高屈折ガラスを採用した11群15枚構成。絞りは、11枚羽根の円形絞りを採用する。
■なぜコンパクト化できたのか?
位相差AFとコントラストAFの両方に最適化したステッピングモーターをオートフォーカスの駆動系に採用することで、高速AFとレンズボディ全体の小型化を実現。さらに、カメラボディ内の補正機能を積極的に活用することで、光学系のみで対応できる収差の補正に注力できたことも、レンズボディを小型化できた要因になっている。
■操作性
「85mm F1.4 DG DN | Art」は、新たに「絞りリングロックスイッチ」を搭載する。撮影中の意図しない絞りリングの操作を防ぐもので、A以外の位置でONにすると、開放から最小絞りの範囲でロックされ、Aの位置に入らないようにすることができる。
鏡筒には、絞りのクリックをなくすことができる「絞りリングクリックスイッチ」をはじめ、「AFLボタン」「フォーカスモード切換えスイッチ」を搭載する。「AFLボタン」は、カメラから任意の機能を割り当てることができるものとなっている※。
※対応しているカメラに限る。また、割り当てられる機能はカメラにより異なる。
■あらゆる環境での快適な撮影を追求
レンズボディは、防塵防滴機構を備える。各パーツにはアルミニウムやTSC (Thermally Stable Composite) などの素材を適所に採用し、Artラインにふさわしい高品質を実現した。さらに、各リングやスイッチの操作感や感触といった感覚的なクオリティも追求することで、堅牢性だけでなく、あらゆる環境で快適な撮影を提供するものとなっている。
■アクセサリー
シグマ製品のファームウェアアップデートやカスタマイズを行うことができる別売りの「SIGMA USB DOCK UD-11」にも対応している (Lマウント用のみ)。
SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art 主な仕様
マウント Lマウント、ソニーEマウント
焦点距離 85mm
開放絞り F1.4
最小絞り F16
レンズ構成 11群15枚
画角 (35mm) 28.6°
絞り羽根枚数 11枚 (円形絞り)
最短撮影距離 85cm
最大撮影倍率 1:8.4
フィルター径 φ77mm
サイズ (最大径×長さ) Lマウント φ82.8×94.1mm、Eマウント φ82.8×96.1mm
質量 Lマウント 630g、Eマウント 625g
付属品 ケース、ロック付フード LH828-02
〈文〉柴田 誠 〈撮影〉我妻慶一