写真家の山岸伸さんプロデュースによる、写真家の作品をラベルにあしらったお酒 (ウイスキー、焼酎、ワイン) が、コロナ禍のなか大人気になっている。秋の夜長に写真家の作品ラベルを眺めつつ、グラスを傾けて写真談議などいかがだろうか?
■プロデュースのきっかけは?
山岸さんが、新型コロナウイルスの影響により空いた時間に何かできることをやろうと考えて、思い出したのが、少し前に「ばんえい競馬をラベルにしてお酒を売り出してみませんか」と誘いを受けていたこと。とりあえず試しに5本売り出してみると意外と反応が良い。そこで自分でプロデュースすることにして、本格的にほかの写真家に声を掛けることとなった。
まずは、ばんえい競馬の帯広つながりでジュエリーアイスの名付け親の浦島久さん。次にヒコーキで人気のルーク・オザワさんにお願いして販売すると、これも好評で、あとはどんどん広がっていくことになった。
■ボトルに合わせて作品をセレクト
基本は1人8本なので、写真をまず本人に選んでもらい、そこから山岸さんがラベルにマッチしそうな作品をセレクトしている。「ラベルは酒により異なり、ワインは縦長、ウイスキーは正方形に近いのでそれに合わせたり、場合によってはトリミングなども考慮する。最近、丸く弧を描くボトルに収まったときの見栄えにセンスが重要なことがわかってきた」と山岸さん。
また、著作権や肖像権がクリアにできないと出せないため、許可取りが毎回大変。タレントや鉄道などはハードルが高く次の課題とのこと。「長く続けるために、各々の写真家の作品が似すぎてしまわないようにバランスをコントロールすることにも注意している。そうして出来上がったものを見ると、写真家の生き方が出てきて面白い。みんなが力を合わせてうまい方向に行くのが理想的。今後さらにラインナップを広げていきたい」と考えているそうだ。
■山岸伸さんからのコメント
コロナ禍により、写真家にとっては厳しい時代になってしまった。写真集を含めて、カメラマンも写真を売るということを強く考えていかないといけない時代になったようだ。売れただけ印税が入るこのラベルはそうした取り組みの参考となるはず。まだまだ拡大するので、写真家の皆さんは、ボクが声を掛けたら、ぜひ自分のベストな写真で参加してほしい。
ところでルークさんが「僕はお酒を飲まないんで、飾るからラベル送って。やっぱり自分のはコンプリートしたいよね」と興味深いことを言ってくれた。僕もみんなのラベルを並べると楽しい。そこでもうひとつの目標が最近できた。20人集まったらラベルを集めて写真展を開催したい。各々の写真を小さく額装して、試飲会を兼ねて見ていただきながら酒を買ってもらえると楽しい催しになりそうだと、今考えているんです。
また「値段の割に美味い」と有名ソムリエも語ってくれたので味もオススメできます。気に入った写真家のお酒を集め、気軽にグラスを傾けて、楽しい時間を過ごしてもらいたいですね。
ラインナップ
写真家によりお酒のラインナップは多少異なる。ワインは赤がカベルネ・ソーヴィニヨン、白はシャルドネ。スパークリングもある。焼酎は芋と麦。ウイスキーはブレンデッドタイプ。価格は2,200円~3,190円 (税込) となっている。
2020年9月15日現在、参加している写真家は14名。ラインナップは今後も増えていく予定だ。
- 山岸伸さんによるばんえい競馬「輓馬 -BANEI KEIBA-」
- 浦島久さんによる北海道大津海岸のジュエリーアイス「Jewelry Ice」
- ルーク・オザワさんによるヒコーキ「JETLINER」
- 中西敏貴さんによる北海道美瑛町の風景「NORTHERN」
- HASEOさんによる幻想的なポートレート「HASEO」
- 川合麻紀さんの作品をモチーフにした「Afterglow」
- 佐藤倫子さんの作品をモチーフにした「rinco」
- 金城武さんによる花火「華火 HANABI」
- HARUKIさんの作品をモチーフにした「Memories」
- 岡嶋和幸さんの作品をモチーフにした「Colorido」
- 湊 和雄さんの沖縄の生態「亜熱帯沖縄」
- 鈴木あやのさんのイルカ「Dolphin」
- 伊賀 孝さんの富士山「不二之山」
- 前田和彦さんの魚「cute fish」
販売は鹿児島県にある株式会社薩摩恵比寿堂が行なっている。購入は薩摩恵比寿堂のオンラインストアから。
https://www.ebisu-do.jp/shin-yamagishi/
〈文〉稲葉利二