秋山武雄さんのフォトエッセイ『東京レトロ写真帖』が発売された。
下町生まれの秋山さんは、浅草橋で洋食屋を営むかたわら、昭和20年代後半から都内の日常を撮影してきた。その写真に随想を添えた連載が読売新聞都民版で人気となり、本書は新書化第2弾となる。
秋山さんが中学生のころの海水浴は大森海岸で、駅前には砂浜が広がっていた。隅田川ではハゼがたくさん釣れ、秋の行楽の一つだった。様変わりした風景が多いが、今も面影を残す場所もある。写真を見るうちに、人々の営みや関係性が景色以上に変わっていることに気づく。
秋山武雄『東京レトロ写真帖』
新書判・320ページ
本体 1,100円(税別)
2020年8月6日発売
中央公論新社
〈文〉市井康延