1年で世界のありようがガラッと変わってしまった2020年。あっという間に1年が終わってしまったという方も多いのでは？ ほんの少しでも楽しんで明るい2021年を迎えていただきたく、プロの写真家やカメラライターに「2020年に買ってよかったモノ」を一斉調査しました！ さあ、何が出てくるかな？
青柳敏史さんの2020年ベストバイ「中国製 サーマルプリンター内蔵カメラ」
4才の娘用に4,500円で購入
ここ最近、4才になる娘が僕のカメラに興味を持ったので古いコンパクトカメラを渡して使わせていたのですが、子どもらしい荒っぽい扱いに耐えられずに数か月で故障してしまいました。そこで小さい子ども向けに何か面白いカメラはないかと探してみたものの、通販サイトをのぞいても特に見つからず……。それならば怪しいものの宝庫 (ごめんなさい)、中国の通販サイトならきっと面白いものが見つかるんじゃないかと思い「Aliexpress」というアリババの個人向け通販サイトで見つけたのが、この「サーマルプリンター内蔵カメラ」です。値段は4,500円くらいでした。
中国製なのでもちろん取扱説明書は中国語と英語だけ。なのですがメニューでは怪しい日本語も選べます。カメラも構造的には簡単なモノなので、普段カメラを使い慣れている人なら取説を読まなくても試行錯誤でどうにかなります。
このシリーズには、色違いとか、形が違うものとか、いろいろとあるのですが基本構造はだいたい同じです。カメラはインカメラとアウトカメラの2か所で動画撮影にも対応し、なぜかシャッターボタンは背面 (右上の丸いボタン) にあり、プリンターを内蔵していて撮影した写真をプリントできるというものです。
撮影した画像はマイクロSDに保存されます。そして撮影したらそのまますぐプリントしてくれるモードと撮影だけのモードを選ぶことができ、撮影した画像をあとから選んでプリントすることも可能です。
プリンターの画質はあくまでもサーマルプリンター (感熱紙を使ったスーパーのレシートみたいなもの) なので、画質は決して良くはありません。そしてバッテリーは内蔵型なので交換できませんが、プリント50枚くらいは楽に撮影可能です。
独特の諧調表現が味わい深い
実際に自分で何枚か撮ったあとに、興味を持ったのか寄ってきた娘に渡してみると、電源ボタンとシャッターボタンだけ教えると、さっそくシャッターを押して撮影を始めました。
普段だと自分で撮っても「写真 (液晶画面で) 見せて」と言って来るだけなのですが、このカメラだと写真がプリントされてくるので、その写真を渡してくれたり、写真に落書きしたりして結構楽しんでいるようです。やはり撮った写真が形になって残るのが良いらしく、カメラを渡してから数日でおもちゃ箱いっぱいのプリントを作って喜んでいました。
プリント自体は感熱紙を使っているので当然モノクロですし、プリントした画像はそのうち消えてしまうかもしれませんが、写真はカメラ内のマイクロSDカードに保存されています。何よりも撮ったその場でプリントして楽しむことができるのが良いですね。たまに借りて撮影してみると、サーマルプリンターの独特の諧調表現が大昔の写真のようで意外と味わい深いのです。興味のある方は探してみてください。大人もはまること請け合いです。
〈文・写真〉青柳敏史