Vlog (ブイログ) がブログの動画版だということは知っていても、どうやったら始められるのか、どんな風に作ったらいいのか、そして何をすればVlogになるのかといったことは、誰も教えてくれない。そこで、Vlogを始める前に最低限知っておきたい基本的な情報をまとめてみた。いきなりハードルを高くしないで、まずは動画ボタンのスイッチを押すことから初めてみよう。
- Vlogを始める前の前・前編
- Vlogを始める前の前・後編
Vlogのテーマは「日常」動画で記録する日記の感覚
動画制作というと、普段撮り慣れている写真とはわけが違って、どうしても身構えてしまいがち。確かに撮影では、被写体の動きを考えたライティングをする必要があり、編集作業やBGMのセレクトなど、撮影後の工程がいくつもある。
しかしVlog (ブイログ) は、その名の通りBlog (ブログ) のビデオ版。写真で綴っていたブログの画像を動画に置き換えるだけで十分なのだ。だから、数秒〜数十秒の動画でまったく問題ない。しかもVlogは、ブログと一緒でテーマは「日常」。作品として作り上げる必要はない。普段の生活の中で感じたこと、旅行先で見た風景や美味しかった食事などを切り取ればいい。
試しにYouTube (ユーチューブ) でVlogを検索してみると、何気ない朝の情景や旅先の思い出などのVlogがヒットする。「モーニングルーティン」といった、朝起きてから出かけるまでの様子だけを撮ったVlogもあって、作者のありのままの生活が覗けたりもする。
VlogとYouTubeは別モノ
Vlogをやっているユーチューバーもいるし、どちらも動画を使った情報発信ということで混同されやすいが、VlogとYouTubeは大きく違う。YouTubeは企画の面白さが重要で、再生回数で評価されることが多い。凝った編集やテロップを使って、視聴者を飽きさせないコンテンツであることが求められる。一方、日常がテーマのVlogは、私的な内容が多く、共感や擬似体験、情報共有といったことを目的にしている。派手な演出や意外性とは無縁のコンテンツだ。
動画を使った日記として作る、見る
日記を動画で記録する感覚で、日々の出来事を記録するのが、Vlogの基本コンセプトだ。静止画 (写真) よりも情報量の多い動画を使って記録するというだけだ。コンテンツがたまっていくと、それは自分自身の記録にもなる。アルバムをオンライン上に記録すると思えば、気楽にVlog作りができるだろう。
まずは見てみよう! Vloggerの日常
① 定点スタイルのVlog
テーブルを真俯瞰で撮ったり、車窓の風景や雲の流れる様子をタイムラプスで撮っただけというVlogも珍しくない。机の上で作業する様子を淡々と綴る。それを繰り返すだけで、Vlogにストーリーが生まれる。
② 自分目線のVlog
自分目線で撮ったVlogは、見る人の共感を得られやすいという特徴がある。旅の思い出やペット、家族との時間、撮影のロケ地ガイド的なVlogによく見られる。普段の写真撮影の延長のような感覚で撮影できるというメリットもある。自分が画面に出たくない、自撮りをするが恥ずかしいという人にとっても、ハードルが低い。
③ 自撮りが中心のVlog
Instagramで #Vlog を検索してみると、自撮り (セルフィー) の投稿がたくさん出てくる。自分を写し込みながら日常を記録するのは、Vlogの中でも人気の高いスタイルになっている。
④ グループ撮影のVlog
仲間とワイワイ楽しんでいる様子や家族と過ごす時間をまとめたVlogも多い。YouTubeほど本格的な編集がされていなくても、現場の楽しさが伝わってくる。まさに日記の動画版と言えるスタイル。
スタイルは大きく4パターン、ジャンルは6パターン程度
Vlogの撮影スタイルは、大きく4パターンに分けられる。カメラを固定した ①「定点スタイル」は、日々の変化を記録したり、ルーティンを撮影するのに向いている。自分目線で移動して歩く ②「一人称スタイル」もVlogには多い。視聴者の共感が得られやすいからだ。
また、カメラに向かって語りかける ③「自撮りスタイル」も共感を得られやすいという点では共通している。友人や家族と一緒に撮る ④「複数人スタイル」もある。旅先などで撮影する場合には、自分一人だけが登場するよりもリアリティがあるし、何よりも楽しい雰囲気が伝わってくる。そして、これらを組み合わせた複合型のスタイルもある。
何を撮ったらいいのか分からないという人もいそうだが、基本的にはブログと同じで何でもアリ。自分のライフスタイルを中心に、旅行、グルメ、家族、ペット、趣味といったものの中から、絞り込んでいけばいい。作品にしようとは思わずに、動画で記録する感覚で始めるのが無理がない。
日記と同じく三日坊主で終わらない
スタイルやジャンルを決めてVlogを作らなければいけないということではない。途中でスタイルが変わっても構わないし、自分の成長や家族との関係、身の周りの出来事や時代背景などによって、伝えたいジャンルが変わってくることは、十分考えられる。手探りで始めたVlogが、そのうち自分のスタイルになっていくことだってあるはずだ。始めること以上に重要なのは、継続することだ。
後編では、撮影する前に知っておきたい知識を紹介します。
〈取材・文〉柴田 誠