機材レポート

3年ぶりに飛鳥路を歩く…

ニコン D800+AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR
欽明天皇陵の近くにて…。今回の基本セットの『ニコン D800+AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR』。それと、標準マクロの『AF-Sマイクロニッコール60ミリF2.8G ED』と、高倍率ズーム『AF-Sニッコール28-300ミリF3.5-5.6G ED VR』。

 先月の中旬、ボクは久しぶりにライフワークの地である”奈良・大和路”を訪れた。…が、毎度毎度機材の選択が悩ましい(苦笑)。大切なライフワークなので、画質や機能にこだわった機材を選びたい気持ちと、日頃の慌ただしさや喧騒を忘れて散策できる軽快な機材を選びたい気持ちとが、出発の直前までせめぎ合うのである。

 …でも、今回は”3年ぶり”ということもあり「ちょっと気合いを入れて撮ろうかナ」という気持ちの方が強い。ということで、3630万画素を誇る35ミリ判フルサイズの『ニコン D800』を選択した。

そして、最も多用する(と思われる)常時レンズには、広角ズームのAF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR』を選択。もちろん、標準ズームと違って標準域や中望遠域はカバーしないが、ボクは昔から広角35ミリを多用していた。なので、こういった広角ズームを”標準ズーム代わり”として使用するのに違和感はない。手ブレ補正機構「VR」の搭載もありがたいし。

この16-35ミリの先の画角を埋める役割を果たすのが、標準マクロの『AF-Sマイクロニッコール60ミリF2.8G ED』。この選択に関しては、通常の標準レンズ「AF-Sニッコール50ミリF1.8G」も候補に挙げたが、明るい日中に使うことが多いだろうと考え、開放F値よりも”マクロ能力&ナノクリスタルコートの効果”を重視して、こちらを選択した。

中望遠域から望遠域にかけては、高倍率ズームの『AF-Sニッコール28-300ミリF3.5-5.6G ED VR』でカバーする。まあ、本来なら”広角から望遠までコレ1本!”的な製品だけど、広角派のボクとしては、28ミリの画角だとイマイチ満足できないし、その広角付近の周辺画質とかも少し不安(3630万画素と高画素なD800だけに)。…だけど、望遠域はこのクラスの製品としては安定感があってキレのある描写が得られるので、ボクはもっぱら”望遠撮影用レンズ”として使用することが多いのよ。

(C)吉森信哉
14日(月):飛鳥駅前の案山子たち。話題になってる”ゆるキャラ”を真似たモノもあったけど、個人的にはこういう古典的な題材の方が好み。
◆ニコン D800 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR(22ミリで撮影) 絞り優先オート F8 1/60秒 WB:オート ISO100

(C)吉森信哉
14日(月):これも飛鳥駅前。季節はずれのアサガオとルコウソウの花が、とてもキレイに感じられた。
◆ニコン D800 AF-Sマイクロニッコール60ミリF2.8G ED 絞り優先オート F5.6 1/200秒 WB:オート ISO100

(C)吉森信哉
14日(月):駅前の橋の欄干の四神の「玄武」。そういえば、3年前にはこの橋の「青竜」の写真を掲載したっけ…。
◆ニコン D800 AF-Sニッコール28-300ミリF3.5-5.6G ED VR(300ミリで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/320秒 -0.3補正 WB:オート ISO400</span

初日の10月14日(月・祝日)は、飛鳥の玄関となる近鉄「飛鳥駅」に到着したのが16時頃だったので、駅周辺を日が暮れるまで散策することにした。おっ、駅前には3年前にも見かけた案山子たちの姿が! そういえば、近年この季節の飛鳥では、稲渕地区の棚田で「案山子ロード」が開催されてるよね。

飛鳥駅にほど近い「欽明天皇陵」に立ち寄って、それから周遊歩道を歩いて「鬼の俎・鬼の雪隠」を目指す。…が、辺りがすっり暗くなったので数十m手前で断念(苦笑)。持参したジッツオの4段三脚に「ニコン D800+AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR」の組み合わせを据えて、暮れゆく飛鳥の風景を撮影した。まあ、そんなにイイ写真は撮れなかったけどね(笑)。ちなみに、今日は短時間の撮影だったけど、持参した3本のレンズをいろいろ使い分けた。

(C)吉森信哉
15日(火):飛鳥を代表する寺院のひとつ「飛鳥寺」。そこの駐車場脇の畑に咲いていたコスモス…と、ヒマワリ? 飛鳥では季節はずれの花が流行りなのか?(笑)
◆ニコン D800 AF-Sニッコール28-300ミリF3.5-5.6G ED VR(300ミリで撮影) 絞り優先オート F7.1 1/200秒 -0.7補正 WB:晴天 ISO400

(C)吉森信哉
15日(火):飛鳥寺近くの集落。雨に濡れた通りが風情を感じさせてくれる。通りの先の木立ちには、奇祭”おんだまつり”で知られる飛鳥坐神社(あすかにいますじんじゃ)がある。
◆ニコン D800 AF-Sニッコール28-300ミリF3.5-5.6G ED VR(122ミリで撮影) 絞り優先オート F16 1/40秒 -0.3補正 WB:晴天 ISO400

翌日の15日(火)は、午前中から飛鳥に向う。今日のルートは、近鉄飛鳥駅スタートではなく、手前の橿原神宮前駅からバスに乗って、飛鳥寺のある地区まで移動する。…が、あいにく朝から曇り空。あ〜、昨日はあんなに天気が良かったのになぁ。まあ、曇りもまた味わい深いものよ。…とか言ってたら、バスで飛鳥に到着した途端に雨がザーザー(泣)。ということで、今日の撮影ではレンズ交換を避けるため、高倍率ズーム「AF-Sニッコール28-300ミリF3.5-5.6G ED VR」1本でおこなった。

(C)吉森信哉
17日(木):文武天皇陵…ではなく、その近くの木立ち。ここ飛鳥では、この手の木立ちがすべて古墳に見えちゃう(笑)。それにしても、気持ちのイイ秋空だこと…。
◆ニコン D800 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR(16ミリで撮影) 絞り優先オート F11 1/200秒 +1.7補正 WB:晴天 ISO100

(C)吉森信哉
17日(木):懐かしい感じの農村風景。秋の斜光線も印象的。
◆ニコン D800 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR(28ミリで撮影) 絞り優先オート F11 1/160秒 WB:晴天 ISO100

(C)吉森信哉
17日(木):上の農村風景を撮った場所近くにある、小さな神社に行ってみた。神社境内はごく普通だったが、石段に伸びる鳥居や木々の影に心惹かれた。
◆ニコン D800 AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR(18ミリで撮影) 絞り優先オート F16 1/20秒 WB:晴天 ISO250

16日(水)は、趣向を変えて奈良公園内を散策。この日の天気もいまいちパッとしなかったが、夕方近くになって晴れ間が広がってきた。

そして、最終日の17日(木)には、また飛鳥を訪れた。初日と同じように飛鳥駅に行き、まず駅前のコンビニで昼食を確保。さあ、今日は飛鳥路を歩くよっ!! 今日の天気は文句ナシの”秋晴れ”なので、自然と心もウキウキしてくるね。檜隈寺跡に向う途中の集落内にあった小さな神社で昼食を済ませ、文武天皇陵〜上平田地区〜立部地区〜健康福祉センター〜橘寺…といったルートで歩く。あ〜、秋の空がイイ感じだなぁ。その開放的な雰囲気を写し込むため、今日のメインレンズは「AF-Sニッコール16-35ミリF4G ED VR」で決まり!

 3年ぶりの飛鳥は、3年前とほとんど変わった所がなかった。よって、撮れる写真もさほど変わらない(笑)。…でも、それでイイ、それがイイ。だからこそ、飛鳥はボクにとっての”心のふるさと”であり、また”ライフワークの地”であり続ける要因なのだから。さあ、今度は秋以外の季節に訪れようかナ…。