ニコンが2021年6月に開発発表した単焦点レンズ2本のうち、広角レンズ「NIKKOR Z 28mm f/2.8」に先がけて標準レンズ「NIKKOR Z 40mm f/2」が登場した。優等生的な描写から一転、お手ごろ価格で個性的な美ボケが魅力のレンズだ。
Zユーザーは注目! 個性的な美ボケレンズが誕生
ニッコールZレンズの印象は、絞り開放から解像感が高く、ボケはクセなしという優等生だが、この40mmは趣が異なる。撮ってみて驚いたのが、まさかの「極上のニジミボケ」。球面収差が見事に旨味としてブレンドされ、滲むようにフワッと後ろ側のアウトフォーカスに連なる。
標準域のニッコールでは「AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G」以来のインパクトだが、価格を抑えつつ、クセをあえて残したのが逆に個性として面白い描写力を持つレンズになった。嬉しい不意打ちだ。
ニジミボケを生かすなら接近戦で絞り開放
ボケの素性のよさは一目瞭然。F2と大口径ではないが、芯が残り気味のボケにニジミが被さり、個性的な描写を見せる。口径食は周辺部でも非常に少ない。F2~4の間の描写変化が大きく、ニジミを消したい場合はF4まで絞るとクリアだ。
球面収差を残し美しいボケ味を追求
構成はシンプルなダブルガウスと、非球面による撮像素子直前の補正レンズからなる。球面収差を絶妙にコントロールしつつ、ほかの収差は徹底的に取り除いている。
Zシリーズの標準単焦点でイチオシと言えるほど気に入った!
口径食もほぼなしといっていいレベル。ブリージングも抑えられ、動画撮影にも向く。「S」の字が冠されていないのでスタンダードタイプとなるが、描写をはじめ、フォーカスリングの滑らかさと質感は申し分なし。Zの標準単焦点レンズでイチ推しはどれか聞かれれば、間違いなくこの「NIKKOR Z 40mm f/2」だ。
高い解像感で遠景スナップを楽しむ
絞り開放による遠景描写をテスト。周辺部でも崩れることはなく十分な解像感を見せてくれる。歪曲収差は気にならないレベル。周辺光量は自然な落ち方でF5.6でフラット。スナップ用途の常用レンズにもってこいだ。
常用レンズにしたいコンパクトサイズ
長さは約5cm弱、インナーフォーカスで全長は不変。スタンダードクラスなので金属鏡筒ではないが、軽量でフォーカスリングの指かかりは良好だ。
円形絞りで美ボケにこだわる
9枚羽根の円形絞りを採用。絞り開放から口径食がほとんど感じられないのも特徴だ。さらにちょっと絞ることで描写変化が楽しめ、円形絞りも効果的に効いてくる。
フレアカッターで内面反射を抑える
マウントはエンジニアプラスチックを採用。レンズ自体軽量なので強度的な問題はない。背面に四角いフレアカッターが付き、特殊な反射防止処理が施してあるようだ。
ニコン NIKKOR Z 40mm f/2
発売日 2021年10月1日
希望小売価格 35,530円 (税込)
マウント ニコンZマウント
レンズ構成 4群6枚
最短撮影距離 0.29m
最大撮影倍率 0.17倍
絞り羽根 9枚 (円形絞り)
フィルター径 φ52mm
最大径×長さ 約φ70×45.5mm
質量 約170g
※本レポートは『CAPA』2021年10月号掲載の記事を再構成したものです。撮影にはベータ機を使用しています。