リコーイメージングのAPS-Cデジタル一眼レフカメラ用望遠レンズ「smc PENTAX-DA★300mmF4ED[IF] SDM」が、人工衛星のカメラ用レンズとして選定されました。今後、宇宙空間からの地球観測などで活躍する予定です。
「smc PENTAX-DA★300mmF4ED[IF] SDM」が搭載されたのは、「KITSUNE」という名の6Uキューブサット衛星。原田精機株式会社と株式会社アドニクス、九州工業大学のコンソーシアム (共同事業体) により製造されました。
キューブサットとは一辺約10cmの立方体 (1U) の超小型衛星のこと。「KITSUNE」は、ワイド6Uサイズ (約10×20×30cm) のキューブサット衛星です。衛星の容積の約半分が「smc PENTAX-DA★300mmF4ED [IF] SDM」が組み込まれたメインカメラで占められているとのことです。
「KITSUNE」は、2022年2月20日にアメリカのAntaresロケットにて打ち上げられ、国際宇宙ステーション (ISS) とのドッキングに成功。今後、ISSの日本実験棟「きぼう」から衛星軌道上に放出され、宇宙空間からの地球観測や高速通信など、さまざまな実証実験が行われる予定です。
「smc PENTAX-DA★300mmF4ED[IF] SDM」は、35mm判換算460mm相当の望遠レンズ。鏡胴部品が金属で構成されていること、高い改造性能を有していること、小型設計であること、さらに市販品のため低コストで調達できることが「KITSUNE」への選定理由だったそうです。「KITSUNE」では、分解能5mクラス (400Km上空から解像5m) の地球撮影に挑戦します。普段から目にしているカメラ用交換レンズが宇宙でも活躍するほどの高性能だというのは、何だか誇らしいですね。
「KITSUNE」は、学術的用途に加えてエンターテインメント分野での利用も目的とされているとのこと。近い将来、遊び感覚で気軽に人工衛星の機能を使う日が来るかもしれません。そのときは、宇宙空間で活躍する「smc PENTAX-DA★300mmF4ED[IF] SDM」にも思いを馳せてみてください。
〈文〉佐藤陽子