西野嘉憲さんが写真集『熊を撃つ』を上梓した。
ヒトが他種の命をいただくこと。本書はその意味を問う。取材したのは岐阜県飛騨市の山間部で行なわれている熊猟。病院がない村にとって熊の胆は大事な薬であり、その肉は命をつなぐ食糧だ。生と死が日常にある世界でヒトは生態系の一部となる。
村の歴史や同行した猟の様子が綴られ、その光景が写し出される。文章がもたらす思考と写真が見せる現実にあるズレが、読者の想像力を刺激する。
西野嘉憲『熊を撃つ』
体裁 A4判変型・144ページ
価格 3,960円(税込)
発売日 2022年2月15日
発行元 閑人堂
西野嘉憲 (Yoshinori Nishino)
1969年、大阪府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。東京の広告制作会社勤務を経て、2005年より沖縄県石垣島を拠点にフリーランス・フォトグラファーとして活動。漁業、狩猟など、人と野生の関わりを写真の主なテーマとする。日経ナショナルジオグラフィック写真賞2018 ピープル部門最優秀賞受賞。
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〈文〉市井康延