EOS R SYSTEM初のAPS-Cセンサー搭載機「EOS R7」と「EOS R10」が発表された。約3250万画素とAPS-C機としては高画素で、最高約15コマ/秒 (メカ / 電子先幕シャッター) 、最高約30コマ/秒 (電子シャッター) の超高速連写が可能な「EOS R7」。同じく約2420万画素で、最高約15コマ/秒 (メカ / 電子先幕) &最高約23コマ/秒 (電子シャッター) の「EOS R10」。気になる実際の動体撮影での性能を、伊丹空港と神戸どうぶつ王国で試してきた。まずは「EOS R7」のファースト・インプレッションをお届けしよう。
キヤノン「EOS R7」「EOS R10」実写インプレッション
- EOS R7
- EOS R10
キヤノン EOS R7
キヤノン EOS R SYSTEM初のAPS-Cセンサー搭載モデル。EOS 7Dシリーズの高速性・高機動性を意識した「7」のネーミングで登場し、高性能AFと高速連写性能がアピールポイントのニューモデルだ。2022年6月下旬発売予定。キヤノンオンラインショップ価格 197,780円 (税込)。
30コマ/秒・15コマ/秒の超高速連写が楽しい!
さて、「EOS R7」は、電子で30コマ/秒の超高速連写が可能だが、センサーは積層型ではないので、「EOS R3」と比べ、電子シャッターの幕速が遅く、横方向に動く被写体を撮影すると、ローリングシャッター歪みが目立ちやすいという制約がある。
また、バッファメモリが少ないわけではないが、電子シャッター時は最高30コマ/秒と連写が速い分、バッファメモリがどんどん埋まっていき、L FINE+cRAWで無節操に連写を重ねていくと、意外と早めにバッファが詰まってしまう。
一方、メカ・電子先幕シャッター時は15コマ/秒とEOS Rシリーズ最速で、L FINE+cRAWでもそう簡単に連写は詰まらない。シャッター音は少し甲高く高級感には欠けるが、撮影意欲を削ぐような萎える音ではない。飛行機などシャッター音を気にせず撮影できるシーンでは、15コマ/秒のメカシャッター音が気分を高揚させてくれる。
30コマ/秒連写
電子シャッター撮影時の連写スピードは最高30コマ/秒。アンコリジョンライトの点滅が長めのボーイング787だが、アンコリが点灯中のカットは8コマ連続。積層センサーではないので、ローリングシャッター歪みはそれなりにあるが、カメラに向かってくる、あるいは遠ざかっていく被写体なら、ローリングシャッター歪みは目立ちにくい。
15コマ/秒連写
神戸どうぶつ王国のフリーフライトバードパフォーマンス“Wings”。メカシャッター連写は最高15コマ/秒と高速で、ローリングシャッター歪みも少ないので、横方向に動く被写体を追い写しするときはメカシャッターが無難。ただ、電子シャッター連写も含め、動きが不規則な被写体を超望遠で的確にフレーミングし続けるのはちょっと難しい。フクロウ系はなんとか追えても、ボクの腕と目ではハヤブサは追い切れなかった。
向かってくる鳥の顔にピントを合わせ続けた実力派のAF
想像していたよりもAF追従性能は高く、神戸どうぶつ王国のフリーフライトバードパフォーマンス“Wings”で、向かってくる鳥をメカシャッター連写で狙ってみたが、向かってくる鷹 (ハリスホーク) の顔にビシッとピントが合い続けたのにはビックリさせられた。
ただ、電子シャッター撮影時も含め、ブラックアウトフリー連写ではないため、横方向に動く被写体を的確にフレーミングし続けるのは少し難しいのと、AF演算周期も「EOS R3」よりも間隔が長いので、動きの変化が大きな被写体に対する反応が少し遅く感じるケースもあるが、積層センサーを搭載していないカメラのなかでは、かなり優秀なAF&連写性能だ。
神戸どうぶつ王国のパフォーマンス“Wings”で撮影したエジプトハゲワシ。[検出する被写体] [動物優先]のAF設定により、被写体の顔をしっかり認識。検出した位置からのトラッキング (追尾) により素早く動く被写体の顔にピントを合わせ続けることができた。
APS-Cモデルとして満足のいく高感度画質だ
APS-Cということで、気になるのは高感度の画質。「EOS R7」の常用最高感度はISO32000だが、ISOオートの上限はISO6400が初期設定なので、積極的に使える感度としてはISO6400前後が目安と思われる。実際に撮影した画像をチェックしてみると、動物の毛並みなどの描写を重視すればISO1600~3200程度に感度を抑えたいところだが、高感度でもノイズの粒が揃っていて、ある程度コントラストがある部分はちゃんとエッジが残るので、飛行機など硬質で単純な絵柄の被写体であれば、ISO12800でもなんとか許容範囲といった印象だ。
夜のヒコーキ撮影で、頭上を通過した着陸機と誘導路が光る滑走の両方をブレなく撮影するには、中望遠の画角なら1/250秒以上のシャッタースピードが必要。そこで、マウントアダプターで「EF50mm F1.8 STM」を装着し、1/250秒のシャッター優先で着陸機を狙ってみたが、ISO25600まで感度アップ。ノイズはそれなりにあるが、筋ムラは目立たず、ノイズの粒も揃っていて、APS-Cの超高感度としては十分過ぎる画質だ。
連写性能と被写体検出・追従性能がバツグン! 動きモノから風景撮影まで活躍できる強力機だ
今回、「EOS R7」を使ってみて感じたのは、メカシャッターによる15コマ/秒の高速連写が軽快で、被写体検出やAF追従性能もバツグン。しかも、ボディが軽く、APS-Cならではの望遠効果もあるので、「RF100-400mm F5.6-8 IS USM」(参考価格 約9万円) と組み合わせれば、換算640mm相当の超望遠撮影がリーズナブルに楽しめる。超広角のRF-Sレンズが追加されれば、風景撮影にも魅力的な選択肢となるはず。多くのカメラファンにとって「刺さる」魅力的なニューモデルであることは間違いないだろう。
シャッター音も聞ける! 撮影現場から動画でレポート
ダテジュンの「EOS R7」「EOS R10」動画レポートはこちら!
※動画のコメントは最初の取材撮影後のインプレッションです。
2022年6月20日発売の『CAPA』7月号に詳細なレポートを掲載します。どうぞお楽しみに!
※鳥の作例写真の撮影地は「神戸どうぶつ王国」です。
※撮影にはベータ機 (試作機) を使用しています。