野鳥写真家・戸塚学さんの写真と文による写真絵本『お山のライチョウ』が発売された。
この本は、日本の天然記念物であり、「神の鳥」として崇敬の対象とされてきたライチョウを撮影した写真と、その保護活動の内容をわかりやすく紹介する写真絵本だ。
野鳥写真家の戸塚学さんは、ライチョウに出会ったときからこの愛らしい鳥に魅せられ、以来北アルプスの立山に通い続けて撮影を続けている。しかし近年の地球温暖化による環境の変化は彼らの生息地にもおよび、絶滅の危機が訪れているという。そこで戸塚さんは、今のライチョウたちの暮らしぶりを1年の四季を通じて撮影し、その保護活動の現状の紹介と併せて1冊の写真絵本にまとめた。
見どころは戸塚さんの思いが伝わってくるような数々の写真。2000m以上の高山帯にのみ生息する、かわいらしくも神秘的なライチョウの姿が、美しい山岳風景のなかにとらえられ、その危機の深刻さがかえって印象づけられる。
全編の監修はライチョウ保護活動の当初の責任者である、元上野動物園園長・小宮輝之さん。小宮さんや、信州大学名誉教授・中村浩志さんによる貴重な写真も掲載され、楽しく見て、読みながらライチョウについて理解を深めることができる1冊だ。
お山のライチョウ
戸塚 学 (写真・文)、小宮輝之 (監修)
体裁 258×207mm・40ページ
価格 1,760円(税込)
発売日 2022年7月6日
発行元 偕成社
戸塚 学 (Gaku Tozuka)
1966年、愛知県生まれ。高校3年生の時写真に興味を持ち、幼少の頃から好きだった自然風景や野生の生き物を被写体として撮影をする。20歳の時、アカゲラを偶然撮影できたことから、野鳥の撮影にのめり込む。「きれい、かわいい」だけでなく、“生きものの体温、ニオイ”を感じられる写真を撮ることを究極の目標としている。主な著書に『らいちょうころころ』『鳥たちは今日も元気に生きてます!』(いずれも文一総合出版)、『野鳥撮影 基本&応用ハンドブック』(技術評論社)。SSP(日本自然科学写真協会)会員、公益財団法人日本野鳥の会会員、西三河野鳥の会会員。
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〈文〉畠野之裕