前川貴行さんが写真絵本『火の山にすむゴリラ』を上梓した。
野生のゴリラを間近で見たい。そう思った写真家はアフリカに4年間通い詰めた。粗雑で狂暴なイメージを抱いていたが、オトナも子どもも遊び好きで争い嫌い。ただ一度、撮影中に赤子を抱えた母ゴリラに腕をつかまれた。緊迫した数秒後、彼女は握った手を放す。写真家は後ずさり、一度シャッターを切った。
掲載された写真の多くはページ全面に印刷され、ゴリラの眼差しや存在感、ディテールが伝わる。平易な文章で、親子で読みたい一冊だ。
前川貴行『火の山にすむゴリラ』
体裁 A4判変型・32ページ
価格 1,870円(税込)
発売日 2022年5月20日
発行元 新日本出版社
前川貴行 (Takayuki Maekawa)
1969年、東京都生まれ。エンジニアとしてコンピューター関連会社に勤務した後、26歳の頃から独学で写真を始める。1997年より動物写真家・田中光常氏の助手を務め、2000年よりフリーの動物写真家としての活動を開始。 日本、北米、アフリカ、アジア、そして近年は中米、オセアニアにもそのフィールドを広げ、野生動物の生きる姿をテーマに撮影に取り組んでいる。TBS「情熱大陸」、NHK-BS「プレミアムカフェ」などに出演するほか、動画撮影、写真展、写真集などさまざまなメディアで作品を発表している。近著に『生き物たちの地球 1』(朝日学生新聞社)、『しまふくろうの森』(あかね書房)、『ハクトウワシ』(新日本出版社)、『SOUL OF ANIMALS』(日本写真企画) などがある。2008年日本写真協会賞新人賞、2012年第1回日経ナショナル ジオグラフィック写真賞グランプリ受賞。公益社団法人 日本写真家協会理事。
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〈文〉市井康延