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日本初の女性報道写真家・笹本恒子さんが107歳で逝去

日本初の女性報道写真家である笹本恒子さんが2022年8月15日、老衰のため亡くなった。享年107歳。

笹本恒子さん
笹本恒子さん

 

笹本さんは画家を志していたが、偶然の出会いから1940年、財団法人写真協会 (現在の日本写真協会とは異なる) で写真家として活動を始めた。

戦後は自立して活動する女性たちをテーマの一つに活動。『きらめいて生きる明治の女性たち』(清流出版)、『ふだん着の肖像 昭和20-30年代を彩った100人』(新潮社) などの写真集がある。2011年に出版した『好奇心ガール、いま101歳 しあわせな長生きのヒント』(小学館) は多くの話題を呼んだ。

日々、英会話を独学し、撮りたいテーマや気になることはメモ用紙に書き記した。100歳を過ぎても「撮りたいテーマがある」と話していた。

 

笹本恒子 (Tsuneko Sasamoto)

1914 (大正3) 年、東京生まれ。画家を志してアルバイトとして東京日日新聞社 (現・毎日新聞社) で紙面のカットを描いていたところ、1940 (昭和15) 年に財団法人写真協会の誘いで報道写真家へ転身。日独伊三国同盟の婦人祝賀会を手始めに、戦時中のさまざまな国際会議などを撮影。戦後はフリーとして活動し、安保闘争から時の人物を数多く撮影。写真集の出版・執筆や写真展・講演会などで活躍した。公益社団法人 日本写真家協会 (JPS) 創立会員。2016年にはJPSにより、若い写真家の写真活動を助成するために「笹本恒子写真賞」が創設された。
→ 笹本恒子写真賞

 

〈文〉市井康延