写真家・操上和美の極限表現が一冊に収められた、俳優・綾野剛の完全受注生産限定の作品集『Portrait』が予約受付を開始した。
本書は毎月一度、同じスタジオ、同じポジションでの、これまで例を見ないストイックな撮影を敢行された。濃密な8ヵ月を経て、変化し続ける男の顔が見事に収められている。
発売日は綾野の41歳の誕生日、2023年1月26日予定だ。
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綾野は撮影現場に驚くほど毎回、違った空気をまとって現れたとのこと。
ある時は1ヵ月で筋肉だけで体重を10kg増やし、ある時は水すら飲むのを制限して華奢な身体の男になっていた。人間の身体はここまで変えられるのかとスタッフを圧倒したという。
100年先でも、100年前でも、違和感がない、時代が映らない作品となり、クリエイションとしては最高峰の一冊に仕上がった。
綾野 剛 コメント「創作の原点に立ち返る」
操上さんのスタジオに初めてお邪魔した時、とある男性の写真に出会ったんです。その肖像写真はなんというか“写っている”のではなく、ただそこに“存在”していました。そしていつ撮られた写真なのか全く分からなかったんです。なぜなら時間が、時代が写っていなかったんです。ふとある言葉を思い出しました。役者を始めた頃「写るのではない。ただそこに居ればいい」。僕自身の創作の原点だったと思い出しました。物語もなくフィクションも存在しない削がれたところから表現を学んでいく。ポートレートという世界に身を投じることによって原点に立ち返れました。操上さんとの挑戦という名の決闘の日々は、作品と自身と他者と向き合うことの大切さを改めて教えて頂きました。
操上和美 コメント「圧倒的な顔の重量感、その顔を通して綾野剛の全体を探る」
30代最後の、40歳までの今の自分を撮ってほしい、と言うことでした。そこで1ヵ月に一度、情景も何も排除して、定点観測のように顔だけを撮り続けた。コートを着た彼が車から降りてスタジオに入ってきて、マスクを着けた、そのままスッとカメラの前に立つ、というようなこともあった。その時々の役柄や、私生活を通じて顔も身体もどんどん変化する、その変化のプロセスが面白い。顔だけに集中することで、どれだけ全体を出せるか、深みに入れるか。ある種、実験的でもありました。撮影中に突然、彼が涙を流したことがありました。私はそれに反応して、静かにシャッターを切り続けました。そういう風に感情の起伏がある人間としての綾野剛。彼がなぜ泣いたかとか、もちろん知りませんし聞きません。しかし、とても印象深かった。
操上和美/Kazumi Kurigami プロフィール
1936年北海道富良野生まれ。主な写真集に『ALTERNATES』『泳ぐ人』『陽と骨』『KAZUMI KURIGAMI PHOTOGRAPHS-CRUSH』『POSSESSION 首藤康之』『NORTHERN』『Diary 1970-2005』『陽と骨Ⅱ』『PORTRAIT』『SELF PORTRAIT』『DEDICATED』、そして2020年、ロバート・フランクに捧げた『April』など。主な個展に「KAZUMI KURIGAMI PHOTOGRAPHS-CRUSH」(原美術館)、「操上和美 時のポートレイト ノスタルジックな存在になりかけた時間。」(東京都写真美術館)、「PORTRAIT」(Gallery 916)、「Lonesome Day Blues」(キヤノンギャラリーS)など。
書籍情報
『Portrait』※完全受注生産商品
予約開始/2022年9月5日 予約締め切り/2022年11月7日 発売日/2023年1月26日
A4変型判/全560頁/重さ約1.2kg/ソフトカバー
写真はすべてモノクロ