自然写真家の高砂淳二さんが、自然写真界で世界最高峰の写真賞「Wildlife Photographer of the Year 58」Natural Artistry (自然芸術部門) の最優秀賞を受賞しました。
■世界中の自然写真家たちが応募する権威ある写真賞
「Wildlife Photographer of the Year」は、イギリス・ロンドン自然史博物館 (大英自然史博物館) が主催。大自然をテーマとする世界で最も権威のある写真賞のひとつです。毎年、世界の自然写真家たちから貴重な生態や決定的・美的瞬間の写真が集まります。第58回となる2022年度は38,000点以上の応募がありました。
■自然芸術部門は高砂さんが日本人初の受賞
「Wildlife Photographer of the Year」には、Animal Portraits (動物ポートレート) やUnder Water (水中) などのカテゴリーが設けられています。高砂さんが最優秀賞を受賞したのは、自然の美しさを最大限に表現している作品に与えられるNatural Artistry (自然芸術部門)。日本人でこの部門を受賞したのは、高砂さんが初めてです。
受賞作品の「Heavenly Flamingos」は、南米ボリビアのウユニ塩湖で撮影された1枚。ウユニ塩湖は雨季にだけ塩原に浅く水が溜まり、運が良ければ湖面が鏡のようになることで知られています。人の気配に敏感なフラミンゴを驚かせないよう、時間をかけて少しずつ近付いてこの夢のような光景を収めたとのこと。標高3,700mの高地で立ったりしゃがんだりしながら接近したことで、酸欠による頭痛や立ち眩みなどを起こしながらの撮影だったそうです。
高砂さんは、「いろんな問題が起きている同じ地球上に、同時にこんな瞬間が存在するということ、そして、この地球はこんなにも美しく宝物のような天体であるということを心から伝えたいと思った」とコメントしています。
■世界を巡回する受賞作品展もスタート
ロンドン自然史博物館では、「Wildlife Photographer of the Year 58」の受賞作品100点を展示する写真展が2022年10月14日からスタートしました。写真展は今後、世界中を巡回予定とのこと。日本での開催も期待したいですね。
高砂淳二 (Junji Takasago)
1962年、宮城県石巻市生まれ。ダイビング専門誌の専属カメラマンを経て1989年に独立。世界100以上の国々を訪れ、海の中から生き物、虹、風景、星空まで、地球全体をフィールドに撮影活動を続けている。2008年には外務省主催・太平洋島サミット記念写真展「Pacific Islands」を担当。TBS「情熱大陸」、NHK「SWITCHインタビュー」、日テレ「未来シアター」をはじめ、テレビ・ラジオ・雑誌等のメディアや講演会などで、自然のこと、自然と人間の関係、人間の役割などを幅広く伝え続けている。著書多数。みやぎ絆大使。海の環境NPO法人 “Oceanic Wildlife Society” 理事。
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〈文〉佐藤陽子