オーストリアのウィーンで、国際的な写真関連用品専門のオークション「第41回ライツ・フォトグラフィカ・オークション (41. Leitz Photographica Auction)」が2022年11月26日 (現地日付) に開催される。
このオークションに先立って、出品予定のカメラ、レンズ、著名写真家のオリジナルプリントなどを展示する特別プレビューが、ライカプロフェッショナルストア東京で2022年10月29日に開催された。3年ぶりとなる日本での特別プレビュー。プレス向けの内覧会へ行ってきた。
オークション出品予定の貴重なカメラやレンズが来日
写真史上において価値の高いアイテムや貴重なコレクターズアイテムが多数登場することで知られる「ライツ・フォトグラフィカ・オークション」は年に2回開催され、今回で41回目となる。今年6月に開催された第40回オークションでは、試作モデルの0号機「Leica 0-Series no.105 ‘Oscar Barnack’」が1,440万ユーロ (約20億円) で落札され、カメラの落札価格として世界最高額を記録した。会場では白熱したその落札の様子もムービーで紹介された。
日本での特別プレビューには、オークションチームの4人が来日。マネージング・ディレクターのAlexander Sedlakさんから、オークションは現地会場で参加するほかにオンラインでの参加が可能で、電話でも入札できると説明があった。
注目アイテムはコレ!
カメラ機材のプロダクトスペシャリスト・Michal Kosakowskiさんが注目アイテムを紹介してくれた。
最初に紹介されたのは、スウェーデン陸軍のために製造された軍用カメラの2台目「Leica IIIf black paint ‘Swedish Army’ the Second One」。1957年製。「Elmar 3.5/5cm」が装着されている。
さらに、同じくスウェーデン陸軍のために製造された「Leica IIIg black paint ‘Swedish Military’」。こちらは1960年製で、レンズも「Elmar 2.8/5cm」が装着されている。レンズの絞りリングに3つの王冠マークが刻印されているのが特徴だ。
シリアルナンバー37の「ライカ M3」プロトタイプ「Leica M3 Prototype no.0037」。セルフタイマーレバーの形状やフィルムカウンターが上部に出ているなど、量産モデルとは細部が異なっているとのこと。
「Leica M3 olive Duble Stroke Bundeseigentum」(1958年製)。オリーブペイント仕上げのダブルストローク (2回巻き上げ) モデルで、「Bundeseigentum (ブンデスアイゲンテューム)」は西ドイツ陸軍のミリタリーモデルを意味する。
「Noctilux 1.2/50mm B702 chrome prototype」(1964年製)。プロトタイプということで、ノクティルックスの刻印がないのが特徴となっている。
ほかにも珍しいアイテムが登場
「Leica Noctilux-M 0.95/50mm ‘S.T Dupont’ Edition 0.95」。F0.95シリーズの誕生を記念したS.T.デュポン (フランス) とのコラボレーションモデルで、特別仕様の「Noctlux-M f0.95/50mm ASPH.」にキーチェーン、万年筆、ライターがセットになっている (2016年製)。
ショーケースの中で存在感を示していたのは「Leica M3 Betriebskamera」とプロトタイプの超望遠レンズ「Telyt 8/40cm」、ファインダーのセット (1955年製)。
特別プレビューでは、カメラとレンズなど16アイテムが展示された。
ビンテージプリントも注目作品が目白押し
プリント作品を紹介してくれたビンテージプリントのスペシャリスト・Caroline Guschelbauerさん。
特別プレビューには10点のプリントが来日。ライカ銀座店1階に展示されていた。オークションには、ブルース・デビッドソン、ロバート・メープルソープ、マリオ・ジャコメッリといった著名写真家の作品が出品される。
アンドレ・デ・ディネス (André de Dienes) の作品「Marilyn Monroe,Tobey Beach」。こちらはチャリティーとして出品され、落札額が支援団体に寄付されることになっている。
「第41回ライツ・フォトグラフィカ・オークション」の出品製品すべてを網羅したオークションカタログ。今回は貴重なプリント100点も出品されることから、カメラ・レンズ類のオークションカタログ (左) とプリントのオークションカタログ (右) に分けられている。このほかに、注目作品だけを集めたダイジェスト版も用意されている。
興味深いアイテムやプリントが数多く出品される「第41回ライツ・フォトグラフィカ・オークション」。特別プレビューではいくつもの歴史を感じさせるホンモノを目にすることができた。今回もまた高額落札品はあるのか、オークションの結果も楽しみな特別プレビューだった。