伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2023年2月号アザーショット 【後編】
“究極の星景レンズ” を謳って発売された「シグマ 20mm F1.4 DG DN | Art」。星景撮影用というからには、光量の少ない環境下において、絞り開放で画面のすみずみまで星などの小さな光源が点に写る高い描写性能が求められる。その点像再現性などを実写作例で見ていこう。
- SIGMA 85mm F1.4 DG DN | Art 実写チェック
- SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art 実写チェック
SIGMA 20mm F1.4 DG DN | Art
[マウント] ソニーEマウント、Lマウント [最大径×長さ] Eマウント φ87.8×113.2mm、Lマウント φ87.8×111.2mm [重さ] Eマウント 630g、Lマウント 635g [レンズ構成] 15群17枚 [最短撮影距離] 23cm [最大撮影倍率] 0.16倍 [絞り羽根枚数] 11枚 [フィルター径] φ82mm
参考価格 137,500円 (税込)
画面周辺の星まで形が崩れず点に写る
絞り開放で周辺の星がちゃんと点に写るかを試すため、江の島へ行った帰りに城ヶ島に足を伸ばしてみた。周辺の明るい星は少し形が崩れるが、暗い星はちゃんと点に写る。一眼レフ用の「20mm F1.4 DG HSM | Art」に比べれば、かなり優秀だ。ISO1250で2.5秒で露光が完了するので、三脚固定撮影でも星をピタッと止めて写すことができる。
周辺部まで収差が少なく像の乱れはほぼ感じない
東京都庁の展望室からの夜景。ガラス越しの撮影なので、画面中央と周辺で光路長が変わってピントがズレるのを抑えるため、F2.5まで絞って撮影。周辺部の諸収差が少ないこともあり、ビルの窓の明かりや衝突防止灯の描写にほぼ乱れはなく、安定した解像が保たれている。
絞りF8で光条はきれいに伸びる
江ノ島サムエル・コッキング苑のシーキャンドルとウィンターチューリップ。82mm径のフロントフィルターや角形フィルターが使えるので、ハーフND (KANI Medium 0.9 GND) でシーキャンドルを減光し、明暗差を調整している。被写界深度的にはもっと絞りたかったが、手持ちなので1/2秒が確保できるF8で撮影。光源の光条はきれいに伸びてくれた。
画面中央から少し外れるとゴーストが目立つケースも
昭和な雰囲気が残るタコさん滑り台がある近所の公園。逆光に弱いわけではないが、画面中央から少し外れた位置に太陽を入れるとゴーストやフレアが少し目立つケースがある。光条を出すためF16まで絞っているが、ここまで絞ると小絞りボケの影響で、枝の輪郭が少し甘めになり始めている。
大きくぼけた背景は柔らかく同心円状の模様も出ていない
小鳥付き車止め「ピコリーノ」を絞り開放で撮影。微ボケ領域ではややボケが硬く感じることがあるが、大きくぼけた背景の描写は非常に柔らかく、同心円状の模様も出ていない。絞り開放の近接撮影でもピント面のにじみや色浮きはなく、キレの良い描写が得られるのも特徴だ。
※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。