伊達淳一のレンズパラダイス『CAPA』2023年3月号 アザーショット【前編】
富士フイルムXシリーズのマクロレンズは3本あるが、そのうちの「XF30mmF2.8 R LM WR Macro」は、全長約69.5mm、重量約195gと、超コンパクトで軽量なレンズにもかかわらず防塵防滴仕様で、最大撮影倍率1倍 (等倍) の本格的マクロ撮影が可能。常用レンズとしても使える小型標準マクロレンズの描写性能をチェックした。
- XF30mmF2.8 R LM WR Macro 実写チェック
- XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro 実写チェック
富士フイルム XF30mmF2.8 R LM WR Macro
[マウント] 富士フイルムXマウント [最大径×長さ] 約φ60×69.5mm [重さ] 約195g [レンズ構成] 9群11枚 [最短撮影距離] 0.1m [最大撮影倍率] 1倍 [絞り羽根枚数] 9枚 [フィルター径] φ43mm
参考価格 88,000円 (税込)
マクロ初心者にも最適な小型軽量標準マクロレンズ
咲いている花が少ない冬の季節でも、マクロレンズを持ってマクロの目で探してみると、意外とフォトジェニックな被写体を発見する。XF30ミリF2.8マクロは、フルサイズ換算で46ミリ相当の標準マクロで、開放F2.8と明るい割には非常に軽量コンパクト。フォーカスも速く、マクロ初心者でも気軽に楽しめる。
軽量コンパクトなレンズとは思えない描写力
イミテーションのパールネックレスをクローズアップ。前ボケも後ボケも非常に素直で、軸上色収差も徹底的に抑えられ、ぼけた部分に色づきはなく、被写体本来の色が再現されている。金属の反射にパープルフリンジもなく、こんなに軽量コンパクトなレンズとは思えないほど好描写だ。
葉脈までクッキリ解像し高輝度部ににじみもない
逆光に透けるシダの葉を絞り開放で撮影。ピントの合った部分は葉脈がクッキリと解像していて、輝度差の大きな境界部分に色にじみもない。葉の隙間に見える後ボケが少しだけリングボケになっているが、葉の微ボケはそれほどうるさくなく、概ね自然な描写が得られている。
口径食は多少あるが、ボケに縁取りや輪線は見られない
木漏れ日を背景に入れて、絞り開放で玉ボケをチェック。口径食はそれなりにあるが、開放F2.8と無理のないF値ということもあり、それほど周辺のボケは欠けておらず、グルグルと渦を巻いたようなボケにはなっていない。また、後ボケに強い縁取りや輪線もなく、自然なボケ味だ。
標準レンズ的に使うと後ボケに輪郭が少し見られる
自宅近くの天満宮に祀られている御神牛。マクロ撮影以外にも、46ミリ相当とちょっと画角が広めの標準レンズとして、スナップ撮影にも使いやすい。F5.6まで絞るとカリっとエッジ立った解像になるが、絞り開放の適度な柔らかさも好み。後ボケの輪郭に少し縁取りが出るが、これも個性として楽しめる。
※参考価格は記事執筆時点の量販店価格です。
後編では「XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro」の描写力をチェックします。